羅生門の妖鬼 作品情報

らしょうもんのようき

その夕、渡辺綱は一条戻り橋のほとりで小百合と名乗る美しい女性に逢い、洛中さわがしき折柄とて同行を申し出た。だが、十三夜の月が川面に映した影から魔性の姿を見て綱は「いざ本性を現わせ!」と詰め寄った。綱を捉えて天上しようとした悪鬼は、鋭い綱の一太刀に片腕を残して消え去った。このころ、都には物の化が跳梁、一条大蔵卿の息女までが生命を奪われ、加えて袴垂保輔などの偸盗が洛中に出没、牛車の往き来も杜絶えがちだった。都を守る源頼光は、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武、坂田金時の四天王に命じ、不安を除かせようと必死になっていた。ここに平三郎敦時は、むかし父良門が羅生門の戦さに頼光に討たれて以来、父の仇を討たんものと体得した幻術で人心をまどわしながら、頼光の身辺を狙っていた。その敦時こそ都を騒がす物の化の正体であった。渡辺綱はさきに斬り取った片腕をわが家の唐櫃に納め、魔性の者が奪い返しにくることを予期して警戒していたとき、乳母の茨木が訪ねてきた。そして綱の武勇を聴き、一目その腕が見たいという。綱が唐櫃を開けた瞬間、鬼女に変じた茨木は腕を掴むと消えた。それから間もなく、頼光の館にも叡山の僧に化けた敦時が現われるが、頼光から父良門謀叛の真相を聞かされるや、今は迷いも晴れた敦時は頼光の片袖に刃を通して、積年の鬱を散じるのだった。かくて洛中は漸くにして、春の宴に管絃を聞くようになった。綱がかねて相愛の頼光の息女千寿姫と結ばれたころ、洛外の古びた庵では母の自害を嘆く敦時の哀れな姿があった。人の世のうつろいは儚い。

「羅生門の妖鬼」の解説

「牢獄の花嫁」の五都宮章人が歌舞伎の「茨木」「戻橋」「土蜘蛛」をもとにして脚本を書き、「殺人現行犯」の佐伯清が監督、「続・獅子丸一平」の吉田貞次が撮影を担当した。主なる出演者は「あばれ振袖」の中村錦之助、「ふり袖小天狗」の東千代之介、伏見扇太郎、「不良少年の母」の高千穂ひづる、「殺人現行犯」の三条美紀、「水戸黄門漫遊記 幽霊城の佝僂男」の月形龍之介など。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督佐伯清
出演中村錦之助 中村錦之助 中村錦之助 中村錦之助 東千代之介 中村時蔵 月形龍之介 中村歌昇 原健策 中野雅晴 伏見扇太郎 清川荘司 吉田義夫 加賀邦男 堀正夫 中村時十郎 坂東小簑 高千穂ひづる 三条美紀 千舟しづか 江川順子 和田道子
制作国 日本(1956)
上映時間 68分

ユーザーレビュー

レビューの投稿はまだありません。

「羅生門の妖鬼」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。

最終更新日:2022-07-26 11:03:48

広告を非表示にするには