新・平家物語 作品情報

しんへいけものがたり

藤原一族の貴族政権崩壊の前夜、保延三年初夏の頃。京都今出川の平忠盛の館では永年の貧窮の結果、西海の海賊征伐から凱旋した郎党達をねぎらう祝宴の金に困り馬を売る始末であった。自分の恩賞問題にからんで公卿の藤原時信が謹慎させられたときいた忠盛は驚いて長男の清盛を時信の屋敷にやった。清盛はそこで時信の娘の時子を見て強く心を引かれた。また清盛は東市の酒屋で五条の商人朱鼻の伴卜から自分の父が白河上皇だときかされ驚いた。忠盛の妻の泰子が祇園の白拍子であった時上皇はそこに屡々通われたが後に彼女を忠盛の妻として賜わり月足らずで生れたのが清盛だというのである。更に清盛は郎党の木工助家貞から母にはもう一人の男八坂の僧があったことをきかされた。忠盛は比叡山延暦寺と朝廷の間に起った紛争を解決した功により昇殿を許されることになった。清盛は忠盛の昇殿を喜ばない一派が闇討を計画しているのを時信からききその謀をぶちこわした。時信は闇討計画を内通したというかどで藤原一門から追放された。清盛はかねて思っていた時子と結婚する承諾を父に求めた。忠盛は莞然と笑った。翌年今宮神社の境内で起った時信の子時忠、家貞の子平六と叡山の荒法師との争いに清盛はまきこまれた。二千の僧徒は神輿を持ち出し六波羅の清盛邸を押しつぶし鳥羽院に強訴しようとして祇園に集まった。騒ぎの最中忠盛は死んだ。泰子は清盛に「お前は白河さまの子だ」といったが清盛は「私は平の忠盛の子です」といいきり、時忠と平六をつれて祇園に向った。荒法師の無道を怒った清盛は神輿に向って矢を放った。矢は神輿の真只中に命中した。

「新・平家物語」の解説

週刊朝日連載の吉川英治作「新・平家物語」を「楊貴妃」の依田義賢、成澤昌茂と辻久一が共同脚色し同じく溝口健二が監督にあたる大映カラー天然色映画。撮影は「天下を狙う美少年」の宮川一夫が担当、色彩は画家和田三造が監督した。主なる出演者は「踊り子行状記」の市川雷蔵、「あすなろ物語」の久我美子、「哀しき富士の白雪よ」の林成年、「リオの情熱」の木暮実千代、「旗本退屈男 謎の怪人屋敷」の進藤英太郎、「幻の馬」の千田是也、新派の大矢市次郎など。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督溝口健二
原作吉川英治
出演市川雷蔵 久我美子 林成年 木暮実千代 大矢市次郎 進藤英太郎 菅井一郎 千田是也 柳永二郎 羅門光三郎 夏目俊二 河野秋武 石黒達也 中村正緒 澤村國太郎 杉山昌三九 荒木忍 伊達三郎 十朱久雄 香川良介 南部彰三 大崎四郎 原聖四郎 光岡龍三郎 横山文彦 葉山富之輔 橘公子 九条雅代 石原須磨男 小松みどり
配給 大映
制作国 日本(1955)
上映時間 107分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-01-10

新・平家物語を観て、とても感動した。私は少年時代、平家物語の本を読んで、ストーリーに魅了されたものだ。だからこの映画もひじょうに興味深かった。これは吉川英治さんの視点で、様々な人物の生涯が見事に描かれている。ほんとに素晴らしいと思った。私は平家物語と言えば、やはり祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり、娑羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす、という言葉を何度も繰り返さずにはいられない。過去を振り返れば、私は人生の様々なシーンで、この言葉を思い浮かべていたように思う。年が明けたばかりだが、昨年の暮れも除夜の鐘を聞きながら、この言葉を思い出していた。この映画はきっと、いつまでも私の心の中で鈴のように鳴り続けるだろう。

最終更新日:2024-01-20 16:00:01

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