「パトリシア・ハイスミスに恋して」、『キャロル』誕生を紐解くシーン&著名人コメント到着

「パトリシア・ハイスミスに恋して」、『キャロル』誕生を紐解くシーン&著名人コメント到着
提供:キネマ旬報

『太陽がいっぱい』『アメリカの友人』『キャロル』など、名作映画の元になった数々の小説を残したパトリシア・ハイスミス。その知られざる素顔に迫る「パトリシア・ハイスミスに恋して」が、11月3日(金・祝)より新宿シネマカリテ、Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、アップリンク吉祥寺ほかで全国順次公開される。
ハイスミスの自伝的小説でありレズビアンのバイブルとなった『キャロル』(1952年出版/初版タイトルは『The Price of Salt』)の誕生を紐解くシーンの映像、ならびに著名人のコメントが到着した。

映像ではハイスミスの元恋人であり、レズビアン・パルプ・フィクションと呼ばれるジャンルを確立した小説家のマリジェーン・ミーカーがコメント。そしてハイスミスのアーカイブ音声とともに、トッド・ヘインズによる映画化作品「キャロル」(2015)の名シーンが登場する。そこに重なるのは、『ゲーム・オブ・スローンズ』のグウェンドリン・クリスティーが小説の一節を読み上げる声だ。

〈コメント〉(順不同・敬称略)
砥がれたナイフのようなひとだと思っていた。スクリーンに映るのは、さまざまな笑顔を持つひとりの人間。強く愛を求め、たくさんの恋をしながらも、孤独でなくては書いて=生きていけない創作者の業に胸を抉られた。
--王谷晶(小説家)
彼女は許されなかった人生の中で様々な人や場所と出合い、思い出を鞄に詰め込み旅を続けた。彼女が書き続けた生きたかった人生は、小説の中だけで終わることなく、この先の未来に確実に存在してほしい。
--小谷実由(モデル)
愛する者に自分だけを見つめてほしい、たとえそれが相手を殺すことになろうと。女たちは彼女の胸の中で結晶化し、声にならない叫びは文章となる。誰よりも激しく女たちを愛し、涙を作品に昇華させた作家。それがパトリシア・ハイスミス。
--柿沼瑛子(翻訳家/パトリシア・ハイスミス「キャロル」)
彼女は窓のない、塀に囲まれた家を建て、静寂を求めながら孤独を恐れていた。
パトリシアが書いていたのは、クライム・ノベルではなく、罪の意識そのものだった。
この映画は『キャロル』が彼女自身の作品になるまでの物語でもある。
--鴻巣友季子(翻訳家・文芸評論家)
「まるで前にもどこかで会ったことがあるかのような、今にも自分が何者であるのかを明かしてくれるのではないかという予感。そしてふたりは、ああ、そうだったのねと笑い合うだろう」
--これはわたしがずっと大切にしている、パトリシア・ハイスミスの『キャロル』の一節。
この映画を観て、さらに『キャロル』という物語のことを深く愛した。
--児玉美月(映画文筆家)
『アメリカの友人』のリプリーがカウボーイハットをかぶっていたのは、ヴィム・ヴェンダース監督が何よりも原作の小説を書いた作家自身に最大の敬意を表してのことだったのだと、この貴重な映画を見て気づいた。
--杉田協士(映画監督)
1970年代、西ベルリンのゲイ・クラブで、客として訪れたハイスミスの視線の先に、デヴィッド・ボウイがいた事実!素敵じゃないの。
--滝本誠(評論家)
旅をし、居住地を変え、恋を頼りに。 彼女は、いい物語は作家の感情からしか生まれないと言ったが、その端々やディティールには、親しかった人達の人生までもが香るように組み込まれているのだろう。そうでないと、恋に落ちた方も、落とされた方も、やり切れない。矛盾だらけの世界で小説の中だけが、彼女の永遠だったのかもしれない。
--玉城ティナ(女優)
求め続け、得ることの叶わなかった母の愛。
社会に承認されぬアイデンティティー。
荊のように絡み付くそれらを
作品の中で解放し、
自分自身を救い、
読者を魅了するハイスミスは
夢のように素敵。
--中村優子(女優)
愛を求め、自分の居場所を求めてヨーロッパを放浪するハイスミスはリプリーそのもの。
あらゆる世界に疎外感を感じる異邦人の眼差しがあの小説群を書かせたのだと知って、
改めて打ちのめされました。
--山崎まどか(コラムニスト)
パトリシア・ハイスミス、私はあなたの切実な人生を何も知らなかった。生きているあいだ、あなたに小説があって本当によかった!『キャロル』を観て心が動いた人、その全員にこれを観てほしい。また心が動くはずだから。あと『アル中女の肖像』を観たことがある人、その全員にも観てほしい。素晴らしい意味でマジかよってなるから。
--ゆっきゅん(DIVA)

© RolfTietgens_CourtesyKeithDeLellis

© 2022 Ensemble Film / Lichtblick Film
配給:ミモザフィルムズ
︎ 遺された日記が明かす、作家の愛と孤独。「パトリシア・ハイスミスに恋して」

最終更新日
2023-10-31 12:09:15
提供
キネマ旬報(引用元

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