登壇者のリベンジしたいこととは?オールフランス&フランス語での撮影秘話を披露『蛇の道』完成披露試写会

登壇者のリベンジしたいこととは?オールフランス&フランス語での撮影秘話を披露『蛇の道』完成披露試写会

『岸辺の旅』(15)で第 68 回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門監督賞に輝き、『スパイの妻 劇場版』(20)では第 77 回ヴェネツィア国際映画祭銀獅子賞を受賞、『Chime』(24)のワールド・プレミアを第 74 回ベルリン国際映画祭で行うなど、世界三大映画祭を中心に国際的評価を獲得し、世界中から熱い視線を浴び続けてきた監督・黒沢清。98 年に劇場公開された同タイトルの自作をフランスを舞台にセルフリメイクし、自ら「最高傑作ができたかもしれない」と公言するリベンジ・サスペンスの完全版『蛇の道』が 6 月 14 日(金)より日本全国劇場公開。

巨匠・黒沢清監督がセルフリメイクし、26 年振りにスクリーンに蘇る完全版リベンジ・サスペンス『蛇の道』。その初お披露目となる完成披露試写会には、国内外で活躍する黒沢監督の最新作というだけあり多くの映画ファンが駆けつけ、注目の高さが伺える。
観客の盛大な拍手に迎えられ、登場したキャスト陣と監督。まずはじめに主演の柴咲は会場を見渡し「本日は完成披露試写会にお越しいただきありがとうございます。ちょうど、一年前の今日がクランクアップだったと聞いて、充足感でいっぱいです。本日みなさんに映画をご覧いただけることに嬉しく思っています」と挨拶。続いて西島も「小夜子の患者の吉村役を演じました西島です」、青木も「こんにちは。小夜子の夫、宗一郎役の青木です」、そしてメガホンと執った黒沢監督は「日本の有名な俳優さんが揃っていますが、本作はフランスで撮影したフランス映画です。日本映画ではないので、心して観てください」とコメントした。

今回、98 年に公開した自作をセルフリメイクすることになった経緯について、黒沢監督は「昔撮ったものは V シネマのヤクザ映画だったのですが、脚本を書いたのは高橋洋さん、『リング』の脚本家ですが、彼の脚本がとても面白くて。あれはあれで傑作でしたが、高橋色が強いので、これを自分色に染めたいと思いました。同じ物語を一から構築したらどうなるかと思いまして」と明かす。
黒沢監督と初タッグとなった柴咲は「監督はすごい方なんです。今回はじめてご一緒したのですが、一対一で対等に話たり、セッションが心地よくて。クランクイン前に不安を払拭したいがために、監督から色々聞き出したいモードになったのですが、それは愚問でした。人間として向き合って役柄を通して監督の脳内を具現化するのが役者の役割だと改めて感じました。あの時はすみませんでした!」と、黒沢監督と顔を見合わせた。黒沢組の常連である西島も「スタッフの黒沢監督に対する尊敬と、黒沢組独特のワクワク感があって。日本でもフランスでもどこで撮っても黒沢組の現場はこうなんだって実感しました」と、和やかだった現場を振り返り、青木は弾丸のフランス滞在となったそうだが「監督への敬愛、人徳が現場に反映されているんですよね。時間の流れもゆっくりで、丁寧に紡いでいく。風が気持ちいい自然に囲まれたパリでの撮影は、日本人として誇らしい気持ちになりました」と、フランスならでは空気感を感じながら演じたと語った。

娘を殺された父親の復讐に加担する謎多き心療内科医を演じた柴咲の怪演は、黒沢監督も「とくに目がすごく良い」と絶賛するほど。さらに、「動きがすごい。獰猛というか、『バトル・ロワイヤル』を超えたんじゃないでしょうか」と、肉体面でもその俊敏な動きに驚かされたそう。西島は、「最初からスタッフとフランス語で話していて、元々話せる方なんだと思っていたら、この作品のために勉強したと聞いて驚きました。すごく努力する方なんだと」というと、柴咲は照れた様子で「それでハードル上がっちゃうから・・・」と返答した。
撮影半年前からフランス語を特訓した柴咲は、クランクイン前から実際にパリで生活を送り、小夜子の人物像を構築した。「フランス映画として取り込む作品なので、聞き心地が悪いのは嫌だったので合格点もらえるように、集中してフランス語に取り組みました。ダミアンは事前のリハーサルでも悪くないっていう表情をしてくれて、撮影中もいろいろ提案されていて細かくセッションできたのでは」と、柴咲のフランス語はフランス人キャストも認める上達ぶりだったという。

ここで、リベンジ・サスペンスという徹底的復讐を描いた本作にちなみ、“今、リベンジしたいこと”についてトークすることに。柴咲は「いつも昔の自分に対して、なんであんな態度をとったんだとか、後悔することが多くて。態度を改めたり、作法を学ぶとかして乗り越えるしかないんですよね」と、過去の自分自身にリベンジしたいといい、西島は「今の役が体重を落とさなきゃいけなくて、甘いものが食べられないんです。現場で、西島さんって甘いもの食べないんですねって言われたんですよ。撮影が終わったら、マカロンとか高カロリーなものが食べたいです(笑)」と語り、会場の笑いを誘う。青木は「今回の柴咲さんの役作りを見て、海外ロケの時は前乗りしようと思いました。リベンジと言えば、パリにもう一度行って、マカロン食べたり、セーヌ川でバタフライしたりしたい」というと、黒沢監督も「今度は仕事ではなく、観光地を堪能したい」と同調し、それぞれがフランスに深い思い入れがあるようだ。

最後に、本作に並々ならぬ思いで取り組んだ柴咲は「全編フランスで撮影し、フランス語で取り組んだフランス映画だと思っています。フランスの俳優さんたちも素晴らしいお芝居をしています。今回フランスに先駆けてみなさんに観てもらえるということで嬉しいです。最後まで堪能してください」と思いを込め、黒沢監督も「本当はこの場にフランスの俳優陣並ぶと爽快でしたが、ダミアン・ボナール、マチュー・アマルリック、グレゴワール・コランたちフランスでは有名な強烈な俳優たちが出演します。その中で、柴咲コウがどのように立ち回り、手懐け、騙し、どこに連れていくのか。恐ろしい柴咲さんが見られますので、スクリーンを凝視してご覧ください」とフランス人キャストにも敬意を払い、全編フランスで撮影された本作の魅力に迫るトークで大盛り上がりのイベントは幕を閉じた。

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最終更新日
2024-05-21 11:00:00
提供
映画の時間編集部

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