かぼちゃ大王 作品情報

かぼちゃだいおう

ローマ、サベリ街の総合病院の小児科病棟。13歳の少女ヴァレンティナ、通称ピッピ(アレッシア・フガルディ)は生後3ヶ月で発病し、てんかんと診断された。小児精神科の若き医師アルトゥーロ(セルジョ・カステリットー)は、それが誤診であり、心の病であることを直観的に見抜く。彼は薬物を使わない心理療法で発作の原因を探ろうとし、ピッピとできるだけ長い時間を過ごすようにする。アルトゥーロはやがて、ピッピの苦しみは、愛のない生活を続ける母チンチア(アンナ・ガリエナ)と父マルチェッロ(アルマンド・デ・ラッツァ)の歪んだ関係を全身で感じ取った彼女が、いつしか自分が逃げ込める世界を作り上げてしまい、心の行き場を失った時に“発作”を起こすのだと確信する。ある日、彼は“スヌーピー”の本をおみやげにピッピを訪ねた。アルトゥーロは、彼が子供の頃に愛した挿話を話し、「かぼちゃ大王が夢をかなえてくれると信じて、かぼちゃ畑に座って大王を待っていた」と語る。この日を境に2人の間に温かい友情が育まれていく。アルトゥーロは潜在的に別れた妻(フランチェスカ・アルキブジ)への自責の念にとらわれていたが、治療を通して両者は互いに癒されていった。病院の勤務環境は過酷で、同僚はやめていき、中年の看護婦アイーダ(ラウラ・ベッティ)は孤独に押し潰されそうになり、ヒステリックな行動に走る。アルトゥーロは病院内の様々な規制を取り除くよう配慮し、小児病棟の子供たちに自然な優しい交流が生まれた。だが、全身麻痺の少女マリネラが突然亡くなり、ピッピは悲しみと怒りをアルトゥーロにぶつけ、彼は無力感に打ちのめされる。またも発作を起こしたピッピに、父親はアルトゥーロを責めるが、彼は「病気じゃない。心の問題を解決すれば直るんだ」と言い放つ。やがて目覚めたピッピが「なぜ自分にだけ優しくしてくれるの?」と尋ね、彼は「僕はかぼちゃ畑に座っていた頃から君を捜していた」と答える。春になり、アルトゥーロは子供たちを連れて、郊外の両親の家に遊びに向かう。アルトゥーロとピッピは朝もやの中、彼が子供の頃に遊んだかぼちゃ畑に出かけた。その後、ピッピは両親が離婚し、母親と暮らしている。ハイスクールに通う今も週1回治療を続けているが、もう22ヶ月間も発作は起きていない。

「かぼちゃ大王」の解説

医師の苦悩と少女の成長を通して、病める時代の愛と希望を描いたヒューマン・ドラマ。抑制の効いた表現で心の動きを繊細に描いた演出、子供たちの自然な演技が感動的。監督・脚本は女優から監督に転じ、処女作「ミニョンにハートブレイク」(V)以来、国際的にも評価の高いイタリアの女性監督フランチェスカ・アルキブジ(ワンシーン出演も)。イタリアに実在した精神科医で、薬物投与をしない治療を提唱したマルコ・ロンバルト・ラディーチェのエッセイを読んで映画化を思い立ったという。製作はグイド・デ・ラウレンティス、レオ・ペスカローロ、フルヴィオ・ルチザーノ、モニーク・アノー。撮影はパオロ・カルネラ、音楽は監督の夫でジャズ・プレーヤーのバティッスタ・レーナと、ロベルト・ガットーの共同、美術はリヴィア・ボルゴニョーニ。出演は「グラン・ブルー」「可愛いだけじゃダメかしら」のセルジョ・カステリットー、132人の候補者から選ばれた美少女アレッシア・フガルディ、「髪結いの亭主」「ハモンハモン」のアンナ・ガリエナ、ピエル・パオロ・パゾリーニの一連の作品やベルナルド・ベルトリッチの「1900年」などで知られるベテラン女優ラウラ・ベッティほか。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1995年11月25日
キャスト 監督フランチェスカ・アルキブジ
出演セルジョ・カステリットー アレッシア・フガルディ アンナ・ガリエナ アルマンド・デ・ラッツァ Victor Cavallo Alessandra Panelli ラウラ・ベッティ リディア・ブロッコリーノ リディア・ブロッコリーノ Maria Consagra Carlo Cosolo Stefano Marni Monica Rametta Patrizia Rosati Francesco Siciliano Ludovica Tinghi Paolo Triestino Stella Vordemann Riccardo Zinna
配給 シネマテン=アルシネテラン
制作国 イタリア オランダ(1993)

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最終更新日:2022-07-26 11:03:55

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