旅芸人の記録 感想・レビュー 3件

たびげいにんのきろく

総合評価5点、「旅芸人の記録」を見た方の感想・レビュー情報です。投稿はこちらから受け付けております。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-11-07

「哀しみの南京~地獄の12月」と云うmonologueメインの二人芝居を観てると,ギリシャ悲劇とギリシャの軍の専制政治とを自由なtenseで準えて紡ぐ本篇の演劇styleが想起された

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-10-14

芸術は政治的な判断を決定付けてはならない。映画も、思考の自由を理想とした、人間や取り巻く社会の冷静で客観的な観察者でなければならない。このテオ・アンゲロプロス監督のギリシャ演劇を土台とした政治に翻弄される旅芸人物語は、その理想のところにある。ワンショット・ワンシークエンスが連続する特殊な話法で導かれた視界は、自然に苦も無く私たちを静かな観察者にしてしまう。なんて大胆で意思強固な作家魂だろう。同じくギリシャ出身のジュールス・ダッシン監督の政治に影響を受ける宗教劇「宿命」を連想させるが、今作はまた格別だ。
姉エレクトラらに拍手を持って送られるオレステスの埋葬シーンに見せる、民衆の力。エレクトラの妹クリュソテミと米兵の結婚披露宴で長く白いテーブルクロスを無言で引く息子の抵抗にある虚無感。そして、秘密警官に強姦された後に、観察者に顔を向けて切々と語るエレクトラの政治情勢についてのモノローグ。演劇と映画の表現が合体した映画文体が自立してそびえ立つ。

P.N.「PineWood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-03-19

テオ・アンゲロプロス監督のギリシャ映画<旅芸人の記録>のアコーデイオンの音を耳にしたら一生忘れないだろう…。♪そしてゆっくりとした映像と動画の対極に在るような固定カメラの前で真正面から話す語り部の姿。だから、激動のギリシャの政治は旅芸人の芝居によって縦横無尽に演じられ唄われる♪。動きの少ない画面が日常生活の中に潜むドラマを激烈に浮上させる。大地に聳える大樹の如く佇みながら…。決してたどり着かないし答えも無いのに!アンゲロプロス監督はTV 出身だが無声映画の原点に還って往ったー。

最終更新日:2022-07-26 11:03:59

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