モルエラニの霧の中 作品情報

もるえらにのきりのなか

第1話【冬の章/水族館のはなし「青いロウソクと人魚」】冬期休館中の水族館。クラゲの担当職員・岩内裕紀(中島広稀)は珍しいクラゲを探し日々海辺を歩き回っているが、ある日港で手紙入りの瓶を海に流す女性を見かける。ある日、水族館の近くに引っ越してきた少年・武藤霧が館内に忍び込んでクラゲを盗み、殺して海に捨ててしまう。飼育員から、クラゲは死んだら綺麗な水になると聞いたことがきっかけらしい。少年の母親である武藤映子(大塚寧々)が謝罪しにきたところ、彼女こそ港で瓶を流していた女性だった。この母子がまた引っ越すことを知った岩内は、二人にある贈り物を用意する。第2話【春の章/写真館のはなし「名残りの花」】老舗写真館の主人・小林幹夫(大杉漣)が病に倒れ、離婚した妻の元で育った息子の真太(河合龍之介)は久しぶりに帰郷。まだ受け取られていない写真があるのを見つけた真太は、写真館の一室でキャンドルショップを営む武藤映子に言われ、持ち主を探すことに。そんな中、蕗子(香川京子)という老婦人が写真館に現れる。蕗子に誘われて訪れた草原で、真太は幼い頃から記憶の奥で響き続けていた歌声の秘密と、父の気持ちを知る。第3話【夏の章/港のはなし「しずかな空」】町の港に豪華客船が寄港することになり、町内会は歓迎式典の出し物を児童合唱団か、和太鼓の会にするかで揺れていた。茶屋を営む水野圭一(水橋研二)が指導する児童合唱団の前任の指導者は、圭一の恩師・野崎美津子だった。美津子は病に倒れてからというもの意思疎通のできない状態にあり、夫の野崎芳郎(小松政夫)が介護している。芳郎は圭一に、美津子が作った歌を合唱団で演奏するよう依頼する。第4話【晩夏の章/「Via Dolorosa」】夏の終わろうとしているある雨の日、粗大ゴミ回収をしている杉山佑二(草野康太)は引き取りの依頼を受け、激しく雨漏りのする古びた地下駐車場へ向かう。そこで依頼主の女からピアノを海に捨ててほしいと言われ、当初は断るものの、捨てる場所には目印があるからと言って女は引き下がらない。佑二は困惑しながらも、そのピアノに興味を持つ。第5話【秋の章/科学館のはなし「名前のない小さな木」】中学3年生の久保桃子(久保田紗友)は7年前に父を亡くし、今は介護施設で働く母・久保七海と暮らしているが、母の再婚を機に町を離れることになる。亡き父との思い出の残る町の科学館へ向かった桃子は、かつて父が仕掛けたイタズラの答えを見つけようと中庭を探す。第6話【晩秋の章/蒸気機関車のはなし「煙の追憶」】科学館の中庭に展示されている蒸気機関車を毎日整備している吉井武治(坂本長利)は、科学館の改築に伴い機関車が解体されることを知り、解体業者の男と揉み合いに。そして職員に怪我をさせてしまい、退職。ある夜、やけ酒をあおり酔った吉井が科学館に忍び込んだところ……。第7話【初冬の章/樹木医のはなし「冬の虫と夏の草」】元・樹木医の河村作次は、季節の変わり目になると老人施設を抜け出してしまう。作次を担当している介護士の久保七海(橋本麻依)は、再婚を機に退職する日が迫る中、何故彼が施設から抜け出すのか知りたいと考えていた。河村は、ある桜の老木の世話をしていた。七海が町を離れる日、河村は再び施設を抜け出し彼女にあるメッセージを伝える。

「モルエラニの霧の中」の解説

北海道室蘭市を含む西いぶり地方を舞台に、街の人々から聞いたエピソードを基に7話連作形式で紡ぐオムニバス劇。クラゲを殺して海に捨てた少年とその母親に水族館職員がある贈り物を用意する第1話【冬の章/水族館のはなし「青いロウソクと人魚」】ほか。監督は、「ハーメルン」の坪川拓史。2011年に東京から北海道室蘭市へ移住し、室蘭市の広報動画『砂がおしえてくれた街』も手掛けた。大杉漣、大塚寧々、香川京子ら俳優陣に加え、エピソードの本人や、オーディションで選ばれたり、街で監督にスカウトされたりした人々が出演している。モルエラニとは、アイヌ民族の言葉で“小さな坂道をおりた所”を意味し、“室蘭”の語源のひとつと言われている。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2021年2月6日
キャスト 監督坪川拓史
出演香川京子 大塚寧々 小松政夫 坂本長利 大杉漣 水橋研二 菜葉菜 中島広稀 草野康太 久保田紗友 咲坂実杏 河合龍之介 菅田俊 竹野留里 佐藤嘉一 橋本麻依
配給 ティー・アーティスト(配給協力:アークエンタテインメント)
制作国 日本(2019)
上映時間 214分
公式サイト http://www.moruerani.com/

(C)室蘭映画製作応援団2020

予告編動画

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ユーザーレビュー

総合評価:3.67点★★★☆、3件の投稿があります。

P.N.「ヤングオヤジ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2021-03-12

日常を離れてもう一つの世界に誘われ、長時間の感覚がないくらい、感動を覚えてた。一つのシーンが終わっても、その余韻が残り味わいがあった。人はみんな孤独に見えて実は一人ではない。悲しみ寂しさを共有し幸福を求めていることを再確認させられた。今は亡き大杉漣、小松政夫の気負いのない演技にも懐かしい思いが流れていた。もうお二人の俳優の
映画が見れないのがとても残念だ。ご冥福を祈る。
忘れられない映画の一つになった。

最終更新日:2023-09-26 02:00:02

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