母(1958) 作品情報

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戦争中東京で工場を経営していた仙吉は、田舎に疎開したが、終戦にあって、収入の道がとだえ、長男の良太郎が復員してこないせいもあり、すっかり気力を失った。工場の再建も図らず、毎日酒びたりで、妻きよや子供たちを叱りつけてばかりいた。三男の栄三の一寸したいたずらで村八分されて以来、栄三には特につらくあたった。良太郎が復員してき、父に意見したので、仙吉はやっと東京へ戻って工場を建てなおすつもりになった。十年たった。良大郎は弁護士になり、清二は彫刻家、長女咲江は高山家へ嫁ぎ、千代子は舞台に立ち、栄三は大学生になった。父の還暦祝の夜、栄三が贈物を買うのに手間どって遅れると、仙吉はきよのとりなしも聞かず叱りつけた。栄三はそのまま家出し、キャバレーのボーイに住みこんだ。妹のことで町のボス達と喧嘩し、倒れてしまった栄三を、きよと節子が助け出し、栄三の幼な友達節子の父の病院へ入れた。彼が退院して家へ帰った時、家は火に包まれていた。工場経営に憔悴した仙吉が、きよの留守に保険金ほしさから放火したのだ。栄三は父の身代りになって自首して出た。仙吉は病に倒れ、息をひきとるとき、すべてをきよに話した。きよからそれを聞いた良太郎は、そのまま握りつぶした。一年後、出所した栄三はきよに迎えられ、良太郎の家に引き取られた。が、兄の冷いしうちに家を去り、節子の叔父伊集院のもとで、漁業にいそしんだ。栄三からの送金は、良太郎が着服し、母の手にはとどかず、しかも夫婦はきよにつらくあたる。きよは家を出、清二の家に移り、そこでもジャマにされ、咲江の家へ移ると、その貧しさに心苦しくなり、またあてどなく立去った。彼女は公園のベンチに坐り、やさしい栄三のことを想った。きよが住みこんだ食堂は、節子が女医として働く工場のものだった。節子は偶然きよに出会い、それを栄三に知らせた。彼はすぐさま帰京し、その足で都議選に出た兄の演説会場へ行き、兄の無責任を責めた。彼を引っぱって母のところに行こうとした。が、途中で思い止り、母のところへ駈けつける。今は心を改めた良太郎や一家全部と節子らが揃って、丘の上の墓地へ詣でた。長兄は母を背負い、皆は和やかに笑った。

「母(1958)」の解説

「母つばめ」の笠原良三のオリジナル・シナリオを、「東京の瞳」の田中重雄が監督、「日露戦争勝利の秘史 敵中横断三百里」の高橋通夫が撮影した母性愛映画。主演は「くちづけ(1957)」の三益愛子、「有楽町で逢いましょう」の京マチ子、菅原謙二、「大都会の午前三時」の根上淳、川口浩「東京の瞳」の船越英二など。ほかに、見明凡太朗、小野道子、角梨枝子、川上康子、志村喬、若尾文子、鶴田浩二、三宅邦子、山本富士子らが大挙助演。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督田中重雄
出演三益愛子 見明凡太朗 根上淳 穂高のり子 品川隆二 小野道子 川口浩 叶順子 八潮悠子 船越英二 川上康子 三津田健 京マチ子 志村喬 宮島健一 潮万太郎 星ひかる 河原侃二 伊達正 若尾文子 金田一敦子 花布辰男 高村栄一 橘喜久子 酒井三郎 高松英郎 苅田とよみ 守田学 春本富士夫 菅原謙二 杉田康 夏木章 鶴田和子 月田昌也 伊藤直保 渡辺鉄弥 伊沢一郎 入江洋佑 飛田喜佐夫 中江文男 丸山修 北原義郎 川島祥二 浜口喜博 村田知英子 角梨枝子 三宅邦子 鶴田浩二 鶴見丈二 町田博子 田端義夫 高野英子 浦辺粂子 新宮信子 竹里光子 山本富士子 柴田吾郎 立花宮子 矢島ひろ子 清水谷薫 藤田佳子 毛利郁子 松平直子
制作国 日本(1958)
上映時間 111分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:47

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