人間の條件 第1・2部 作品情報

にんげんのじょうけんだいいちにぶ

昭和十八年の満州、梶と美千子の夫婦をのせたトラックは老虎嶺鉱山に向けて走っていた。満鉄調査部勤務の時に知合い結ばれた二人は、友人影山の勧めで労務管理の職につく梶の任地に行くのだ。戦争に疑いをもち、妻を愛する梶が、召集免除を条件に自ら選んだ職場が、そこに彼を待っているはずだった。しかし、現地人の工人達を使って苛酷な仕事を強いる鉱山の労働条件は、極度に悪かった。現場監督岡崎一味の不正に対抗し、同僚沖島や部下の現地事務員陳の助けをえて、梶の苦闘がつづく。折から上部より二割緊急増産の指令とともに、北支から六百名の捕虜が特殊工人として送りこまれてきた。半死状態の捕虜たちは電流を通じた鉄条網の中に入れられ、労働意欲をかりたてるためと称して娼婦をあてがわれた。工人の高と、娼婦楊春蘭の愛が芽ばえたのは、そんな条件の中でだった。一方、朝鮮人の張命賛は、娼婦の金東福を使って、工人を脱走させる仕事で甘い汁を吸っていた。真面目な陳を金東福の色じかけで手中に入れ、弱点を握って鉄条網の電流を一定時間とめさせるのだ。牟田や古屋が日本人側からこれに加担していた。特殊工人と話し合って、現状での最善の状態を作ろうと努力し、梶は二割増産を達成させた。しかし、楽しみにしていた美千子との休暇は、張一味による脱走事件の発生で中止となった。張一味と結んだ古屋は、梶をねたんで再度の工人脱走を企てた。だが、陳は良心の苛責から、三千三百ボルトの電流の通じる鉄条網に自ら身を投じて死んだ。現場監督岡崎の非人間的な態度は、特殊工人の反感を買い、ある時、高をはじめとする七人の抗議事件をひきおこした。憲兵軍曹渡合の手で、七人は日本刀による斬首の刑に処されることになった。一人、二人と残虐な処刑が進行するうちに、それを見る梶の心理は激しく動いた。特殊工人たちの喚声の中で、遂に梶は「やめてくれ!」と声をあげて叫んだ。処刑は中止された。しかし、そのあとには、軍部に反抗を企てた梶に対する、恐るべき憲兵隊のリンチが待っていた。そして、半死半生で釈放された彼につきつけられたのは、現職免除の命令と、臨時召集令状だった。

「人間の條件 第1・2部」の解説

空前のベストセラーとなった五味川純平の同名小説の映画化。今回はその第二部まで。「有楽町0番地」の共同執筆者・松山善三と小林正樹が脚色、「黒い河」の小林正樹が久方ぶりに監督した。撮影は「裸の太陽」(東映)の宮島義勇。「裸の太陽」の仲代達矢、「鰯雲」の新珠三千代をはじめ、佐田啓二・有馬稲子・淡島千景・南原伸二・山村聡らの多彩なキャスト。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督小林正樹
原作五味川純平
出演仲代達矢 新珠三千代 小林トシ子 山本和子 佐田啓二 中村伸郎 田島義文 佐々木孝丸 山村聡 三島雅夫 三井弘次 芦田伸介 小沢栄太郎 小杉義男 稲川善一 玉島愛造 永田靖 磯野秋雄 浜田寅彦 宮口精二 南原伸二 増田順二 殿山泰司 北龍二 河野秋武 安部徹 福田正剛 石浜朗 淡島千景 有馬稲子 山茶花究 東野英治郎 北林谷栄 岸輝子 織本順吉
配給 松竹
制作国 日本(1959)
上映時間 201分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-08-05

TBSTV の報道スペシャル番組で「平和憲法は日本の叡智」と語る俳優・仲代達矢。本編のシリーズには熱狂的なファンが多い。昔オールナイト上映会へと駆け付けた住み込み勤務の彼女も其の一人だった。確かに重いテーマだか五味川純平原作のヒューマン・ドラマは心打つ。映像的にも素晴らしく一気に観たくなる映画だ!

最終更新日:2022-07-26 11:03:46

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