また逢う日まで 作品情報

またあうひまで

昭和十八年。日本に住むすべての人々は、狂気に似た戦争のるつぼの中へ巻き込まれた。三郎と螢子が、はじめて逢ったのは空襲警報の鳴り渡る街の地下鉄のホームであった。もみ合う人、人、その中で押し倒された若い二人の指がふとふれあった。盲目にされている戦争の最中で、人間としての青春の、愛情の喜びを得たいと願う、それは美しい心のふれ合いだった。燃え上がる愛情は日に増した。だが、時は一刻の猶予もなく、戦争の遂行のために進んでいた。三郎は母のない冷厳な法務官の息子である。兄二郎は、かつて夢多い青年であった。だが今は陸軍中尉の軍服がぴったりと身についた青年将校で、三郎にとっては悲しい存在であった。長兄の一郎は戦争で死に、その妻の正子は、三郎の家ではあわれな奴隷であった。父も兄二郎もそれはあたり前だと思っていた。この家庭、この雰囲気、三郎はたまらなかった。それに反して、螢子の家庭は、母と二人、螢子の先生のアトリエに留守番として住んでおり、螢子は小さな画家の卵として、貧しい生活のために、似顔を画いていたし、母は工場に勤め、この母と子はあふれるほどの愛情に満ちていた。三郎は明るい螢子と逢っているときだけが、幸福を身に感じるときだった。だが二人は、目に見えない戦の大きな黒い手の中で、やはり身動きできない二人だったのだ。三郎の友人は次々と召集された。二人は追われる様な日々を過ごした。そしてついに三郎に赤紙が来た。あと二日、螢子の描いたつたない三郎の肖像画が、ただ一つの思い出として残る運命の日がくる。最後に逢う日、三郎の姉正子は防空訓練で倒れ、亡き一郎の子を流産した。三郎は螢子との約束の場所へ行けなかった。その頃その場所、爆弾によってふきとばされ、螢子の若い命はあっという間に散ってしまった。三郎の征く日は更に一日早まった。螢子の見送りもなく、征く三郎、人間としての限りない平和と希望を求めた三郎は、軍用列車で運ばれる。--昭和二十年。今は亡き三郎の肖像画は黒い布でつつまれて、戦いの終わりは告げられていた。

「また逢う日まで」の解説

東宝製作再開第二回目の作品で、製作は坂上静翁。脚本は「女の一生(1949)」の水木洋子と八住利雄(八住利雄の近作に「白雪先生と子供たち」あり)の協同で「青い山脈(1949)」「女の顔」につぐ今井正が演出する。カメラは「地獄の貴婦人」の中尾駿一郎担当。主演は「女の顔」「東京無宿(1950)」の岡田英次と「続不良少女」の久我美子で、それに「暴力の街」の滝沢修、河野秋武、「銀座三四郎」の風見章子、「妻の部屋」の杉村春子が出演する。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 出演岡田英次 滝沢修 河野秋武 風見章子 久我美子 杉村春子
配給 東宝
制作国 日本(1950)
上映時間 111分

動画配信で映画を観よう! [PR]

ユーザーレビュー

レビューの投稿はまだありません。

「また逢う日まで」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。

最終更新日:2024-03-05 15:31:58

広告を非表示にするには