鶴彬 こころの軌跡 作品情報

つるあきらこころのきせき

日本が戦争への道を歩んでいった昭和初期。“暁を抱いて闇にゐる蕾”、“手と足をもいだ丸太にしてかへし”など、数多くの反戦川柳を詠んだ作家、鶴彬(池上リョヲマ)。本名は喜多一二といい、1909年1月に石川県河北郡高松町で生まれる。だが、すぐに子供のなかった叔父夫妻に引き取られ、養子となる。同じ町内に実父母兄妹がいたが、8歳の時に実父と死別。やがて母も再婚すると遠く離れて暮らすことに。やがて、石川啄木に憧れた少年は、日本海を眺めながら詩を書き始める。当初はロマンチックな作品を好んだが、戦争へと突き進む暗く重い時代の中で、次第にプロレタリア文学に傾倒。社会運動の高まりに影響を受け、19歳で全日本無産者芸術連盟高松支部を結成、反戦句で戦争反対を訴える。1930年、21歳で金沢歩兵第七連隊に入隊すると、日本共産青年同盟の機関紙“無産青年”を持ち込むなどの反戦活動を展開。治安維持法違反で逮捕され、懲役2年の刑に服する。日中戦争が開始された1937年には“万歳とあげて行った手を大陸へおいて来た”、“高梁の実りへ戦車と靴の鋲”、“屍のゐないニュース映画で勇ましい”などの作品を発表し、再び治安維持法違反で東京の野方署に留置される。翌年、赤痢に感染すると、勾留されたまま病院で死亡。享年29歳。1938年9月14日に息を引き取るまで、一度として反戦の主張を曲げることはなかった。警察病院で燃え尽きたその遺骨は高松へ帰ることなく、兄の手で岩手県盛岡市の光照寺で手厚く葬られた。

「鶴彬 こころの軌跡」の解説

昭和初期に反戦を訴えて獄死した川柳作家、鶴彬の生誕100周年を記念して、その人生を振り返るドラマ。監督は「ひめゆりの塔」、「ラストゲーム 最後の早慶戦」などで知られるベテラン神山征二郎。出演は「北辰斜にさすところ」の池上リョヲマ、「黒部の太陽」の樫山文枝、「それでもボクはやってない」の高橋長英。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2009年7月4日
キャスト 監督神山征二郎
出演池上リョヲマ 樫山文江 高橋長英 安藤一夫 河野しずか 角谷栄次
配給 鶴彬生誕100年祭実行委員会
制作国 日本(2009)
上映時間 90分

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最終更新日:2022-07-26 11:03:34

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