羅生門 デジタル完全版 作品情報

らしょうもんでじたるかんぜんばん

平安時代末期、戦乱で荒れ果てた京の町。土砂降りの雨の降るある日、羅生門の廃墟で雨宿りをしていた旅法師(千秋実)と杣売(志村喬)はお互い首を傾げ、考えていた。そこに下人(上田吉二郎)が走り込んでくる。旅法師と杣売は下人に問われ、不思議な話を語り始める。都で名高い盗賊・多襄丸(三船敏郎)が、森の中で侍・金沢武弘(森雅之)とその妻・真砂(京マチ子)を襲った。盗賊は妻を犯し、夫を殺した。しかし検非違使が盗賊、妻、目撃者の旅法師と杣売を尋問し事件を取り調べると、それぞれの証言が食い違った。盗賊は、生き残った方に着いていくと妻が言ったので夫と対決し、夫を倒したが妻は消えていたと言う。妻は、盗賊に犯された自分に対する夫の蔑みに耐えきれず、自分を殺すよう夫に短刀を差し出したが、気がつくと短刀は夫の胸に刺さっていたと言う。そして夫の霊を乗り移らせた巫女(本間文子)は、妻が盗賊に夫を殺すよう頼むのを聞いて失望し、自分で短刀を胸に刺したが、意識が朦朧としているなか、誰かがその短刀を抜くのを感じながら絶命したと言う。それを聞いた下人は、杣売が短刀を盗んだのだろうとなじると、羅生門に捨てられていた赤ん坊の衣服を剥ぎ取って去っていった。杣売は、残された赤ん坊を育てる決意をする。

「羅生門 デジタル完全版」の解説

1951年ヴェネチア国際映画祭グランプリ金獅子賞、52年米アカデミー賞名誉賞(最優秀外国語映画賞)を受賞した黒沢明監督作品「羅生門」を、ハリウッド最高のデジタル技術を駆使し、映像・録音を本来の状態に蘇らせた。撮影は「雨月物語」の宮川一夫。出演は、「七人の侍」の三船敏郎、「地獄門」の京マチ子。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2008年11月29日
キャスト 監督黒澤明
原作芥川龍之介
出演三船敏郎 京マチ子 志村喬 森雅之 千秋実 上田吉二郎 本間文子 加東大介
配給 角川映画
制作国 日本(1950)
上映時間 88分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-02-09

この映画をまた観た。私は最近、地元に伝わる茨木童子について研究していて、この映画も気になってしかたがなかったからだ。茨木童子の住み家は羅生門とされている。私は芥川龍之介の小説も飽きるほど読んでいるし、この映画も何度も観ているが、これほど人間というものを見事に追求した作品はなかなか見つからないと思う。この映画を観ながら、茨木童子のことを思った。生まれてまもなく捨てられ、近くの床屋に拾われた。床屋の仕事をしていた時に手をすべらし、客を傷つけた。吹き出した客の血を指で取り、舐めた。そこから茨木童子は鬼として目覚めていく。やがて羅生門の鬼と呼ばれるようになるが、最後は父のもとで看病する優しい鬼だった。このストーリーも、また羅生門とは違う角度で人間を見事に追求している。私はこれからも何度もこの映画を観るだろう。

最終更新日:2024-02-19 16:00:02

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