雪之丞変化(1963) 作品情報

ゆきのじょうへんげ

ここは市村座の舞台に舞う上方歌舞伎の花形女形、中村雪之丞は、思いがけなくも冤罪で父を陥れた、もと長崎奉行、土部三斎一味の姿をみた。江戸下りの初舞台に早くも怨み重る仇に巡り会おうとは……。師の菊之丞は、逸る雪之丞を抑え訓すのだった。その夜の帰途、雪之丞は一人の刺客に襲われた。かつての剣のライバル門倉平馬だった。その場は忽然と現われた侠盗闇太郎に救われた。さて、三斎の娘浪路は、先日の観劇以来、雪之丞のあで姿に側室の身を忘れ恋患の床についた。これを知った川口屋は、大奥を動かすには浪路の機嫌をと、一計を案じた。それを聞いた雪之丞は好機とばかり浪路に近づくが、地位も名誉も捨ててひたすら己にすがる浪路をみて胸を痛めるのだった。そこへ相棒のムク犬を見張りに、女賊のお初が三斎の屋敷に忍びこんできた。だが、雪之丞に発見され追い返されてしまった。胸のおさまらぬお初は、雪之丞の部屋に忍びこみ、そこで雪之丞の秘密を知ってしまった。一方、川口屋は江戸の飢饉に乗じて、江戸中の米を買いしめていた。雪之丞は川口屋の相棒広海屋をそそのかし、広海屋の米を投売に江戸に出させた。ために川口屋は破産し、広海屋に火をつけた。慌てた広海屋は川口屋を絞め殺し、三斎の力をかりるため、浪路を誘拐した。だが広海屋は浪路に刺され、浪路は島抜け法師によって闇太郎の隠家に連れこまれた。闇太郎の知せで雪之丞が駆けつけた時はおそく、浪路は死んでいた。雪之丞は、三斎との対決に彼の屋敷へ乗り込んだが、三斎はもはやこれまでと自から毒を呷った--。長崎一の海産商、松浦屋清左衛門に無実の罪を押しつけて、謀殺した時の長崎奉行土部三斎と広海屋、それに松浦屋の番頭であった川口屋は、松浦清左衛門の遺児雪之丞によってことごとく裁かれた。江戸最後の舞台をつとめる雪之丞の美しい顔には、一抹の淋しい表情が現われていた。

「雪之丞変化(1963)」の解説

昭和十年朝日新聞連載三上於菟吉同名の原作から「王将(1962)」の伊藤大輔と「抜打ち鴉」の衣笠貞之助が共同で脚色、「私は二歳」の和田夏十がシナリオ化。市川崑が監督した仇討ちもの。撮影もコンビの小林節雄。出演は「秦・始皇帝」長谷川一夫、山本富士子、勝新太郎、若尾文子、「秦・始皇帝」「陽気な殿様」の市川雷蔵、真城千都世、尾上栄五郎など。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督市川崑
原作三上於菟吉
出演長谷川一夫 長谷川一夫 山本富士子 若尾文子 市川雷蔵 勝新太郎 船越英二 市川中車 林成年 中村鴈治郎 柳永二郎 大辻伺郎 伊達三郎 中村豊 千葉敏郎 南道郎 浜村純 加藤嘉 真城千都世 毛利菊枝 水原浩一 尾上栄五郎 沖時男 菊野昌代士 徳川夢声
配給 大映
制作国 日本(1963)
上映時間 113分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「さくらさいた」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-06-04

元祖二枚目俳優、長谷川一夫さんは旅回りの女形と義賊の二役を演じる。カッコイイ!若尾文子さんは徳川大奥出入りの絶世の美女ながら悲哀のヒロイン。この世のひととは思えない透明感。ビューティフル!!山本富士子さんはおんな盗賊。ちゃきちゃきの江戸弁で部下をまくし立てるさまはとてつもなくクール!!カントクは、市川昆さん!アップ多用のカット割、カメラワークを抑えた美しい映像。ジャズやクラシック風のBGM音楽にビックリ♪ステキです。生まれる前の作品を観て、日本映画の奥深さに感激。

最終更新日:2024-01-08 02:00:03

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