夜の蝶 作品情報

よるのちょう

銀座の一流バー、フランソワのマダム・マリは派手で明るい性格の女。政治家や人気作家ともつきあい、経営ぶりもうまい。その銀座へ、京都の舞妓上りのおきくが新たにバーを開業することになった。おきくは各酒場に挨拶廻りするが、その中にはマリの妹分けいのバーもあった。おきくは、けいの恋人で女給周旋業の秀二に現ナマ五万円を積み、女給の周旋を依頼、マリの陣営の一角を切り崩す。マリも負けじと対抗、この戦は夜の銀座の話題となる。マリとおきくの因縁は古く、かつて大阪で結婚したマリの夫が京都に囲った女がおきくだったのである。おきくはマリの夫の死後、京都にバーを出し、一方、若い医学生原田に学費をみついで、将来の結婚を夢みている。かくて二人のマダムは鎬をけずり合っていたが、ここに関西のデパート社長白沢が東京に進出すべく、腹心の木崎を参謀格に登場、マリ・おきくの戦いはますます白熱化することになった。というのは、マリは白沢に岡惚れだったが、白沢は実はおきくのパトロンで、彼女の銀座進出に骨折り、正式の結婚さえ望んでいた。おきくの本心は原田との結婚にあったが、原田は同僚の女性浅井と結ばれて、おきくの申出は断わられた。一方、白沢の東京進出は木崎の裏切によって敗れたが、そのことを知ったマリは積極的に白沢に近づき、二人は白沢の別荘へ泊まるべく夜の京浜国道を車を駆った。二人のことを聞いたおきくは、白沢にいいたい事があるといって、自ら車を運転、二人のあとを追ったが、途中で車がぶつかり合い、マリ・おきくはあっけなく死んでしまった。--

「夜の蝶」の解説

銀座の酒場に生きる女たちの激しい執念とペーソスを描いた“中央公論”所載の川口松太郎の小説を映画化した文芸篇。「流れる」の共同脚色者の一人、田中澄江が脚色し「大阪物語」の吉村公三郎が監督した。撮影は「朱雀門」の宮川一夫。主演は、「源氏物語 浮舟」の山本富士子、「地獄花」の京マチ子、「永すぎた春」の船越英二、「湖水物語」の近藤美恵子、八潮悠子、「曙荘の殺人」の川上康子。ほかに山村聡、小沢栄太郎、穂高のり子、芥川比呂志など。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督吉村公三郎
原作川口松太郎
出演京マチ子 山本富士子 穂高のり子 船越英二 山村聡 小沢栄太郎 芥川比呂志 近藤美恵子 川上康子 八潮悠子 瀬戸ヱニ子 南左斗子 立花宮子 種井信子 市田ひろみ 樋口登志子 川崎敬三 高田宗彦 潮万太郎 ジョー・オハラ 河原侃二 見明凡太朗 津田駿二 飛田喜佐夫 小津明 谷謙一 岡村文子 鍵山寿子 青山敬二 丸山修 伊東光一 高松英道 伊達三郎 天野一郎 早川雄三 宮島城之 杉森麟 中村伸郎 宮口精二 三津田健 小川虎之助 十朱久雄
配給 大映
制作国 日本(1957)
上映時間 90分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「水口栄一」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2020-12-24

夜の蝶を観て、とても感動した。私は40代の頃、夜の世界にいた。通天閣の近くにオフィスがあった。私はほとんど毎日、大阪のキタ、ミナミ、神戸の三宮、福原、京都の祇園、さらに雄琴へと仕事で回っていた。それは8年近く続いた。夜の蝶というものは私にとっていつも身近な存在だった。だからこの映画を観るとやはり共感できるところが多くあるのだ。山本富士子さんは美しすぎる。最高の女優さんだろう。大好きだ。

最終更新日:2022-07-26 11:03:47

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