汚名 作品情報

おめい

アリシア・ハバーマンは売国奴の父を持ったために心ならずも悪名高き女として全米に宣伝されていた。ある夜うさ晴らしに開いたパーティで、彼女はデブリンというアメリカの連邦警察官と知り合った。デブリンは南米に策動するナチ一味を探る重要な職務にあった。首謀者セバスチャンをよく知っているアリシアを利用する目的で近づいたのだったが、やがて彼女に強く引かれるようになった。一緒に南米に行き、リオ・デ・ジャネイロでの楽しいあけくれに、二人の愛情は日毎に深まり、アリシアはデブリンの愛によって、その昔の純情さを取り戻していった。が間もなく、彼女は命令で首領セバスチャンを探ることになったが、彼が以前父親の相棒だったことから、アリシアは容易にセバスチャン邸に入り込むことに成功し計画通りに彼は彼女を恋するようになった。一夜、彼の邸でナチスパイ連の晩餐会が催されたが、その時出された一本のぶどう酒に対するハブカの態度とそれに次いで起こった彼の変死にアリシアは強い疑念を持った。セバスチャンの花嫁となった彼女は、家中を見回ることが出来たが、地下室の酒蔵にだけは入れなかった。デブリンとの打ち合わせによって、一夜またパーティが催され、アリシアは酒蔵の鍵をセバスチャンから盗み取りデブリンに渡した。目的の酒瓶を辛うじて盗み出して彼は逃げ去ったが、嫉妬から絶えずデブリンを監視していたセバスチャンはかぎつけてしまった。ぶどう酒の瓶を見て取り乱したハブカの殺された前例からも、セバスチャンはアリシアが酒蔵を調べた事を仲間に疑われてはならなかった。母親と二人の共謀で、アリシアは毒入りコーヒーで徐々に死へ導かれていった。一方例の酒瓶の中には原子爆弾のウラニウム鉱が入れてあることが分かった。アリシアは病み衰えながらも、ウラニウムの出所を聞き出そうとたえず気を配ったが、アンダーソン博士の不用意に口から出た言葉でそれを悟った。使命を終えて逃れようとしたアリシアは力つきて倒れてしまった。だが敵中に唯一人とり残されたアリシアの許にデブリンはかけつけた。愛する者の敏感さで、デブリンは彼女の身の危険を感じたのだ。デブリンのアリシア救出によって、ナチ仲間はセバスチャンの失策を知った。セバスチャンには死の制裁が下された。アリシアがデブリンの愛によって全快する日は恐らく間もないだろう。

「汚名」の解説

「断崖」「疑惑の影」のアルフレッド・ヒッチコックが「ガス燈」「ジキル博士とハイド氏(1941)」のイングリッド・バーグマンと「独身者と女学生」のケーリー・グラントを主役として監督した1946年作品。脚本は「運命の饗宴」やヒッチコック作品「呪縛」のベン・ヘクトが書き下ろしたもので、撮影は現在監督に転じて名を挙げている「春を手さぐる」等のテッド・テズラフで、音楽は「ママの思い出」のロイ・ウェッブが作曲した。助演はクロード・レインズ、「ゾラの生涯」のルイス・カルハーン、映画初出演の舞台女優レオポルディーン・コンスタンチン、「少年牧場」のモローニ・オルセン、かつてドイツ映画の監督だったラインホルト・シュンツェルその他である。

公開日・キャスト、その他基本情報

制作国 アメリカ(1946)
上映時間 102分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、3件の投稿があります。

P.N.「オーウェン」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-12-01

1940年代当時からすでに、人間の不安感や恐怖心理の描写にかけては第一人者だったアルフレッド・ヒッチコック監督は、この「汚名」で息詰まるサスペンスと激しい恋を巧みにクロスさせた。

主演のイングリッド・バーグマンは、主人公の陰影のある複雑な心理を流麗に演じていて、実に見事だ。

秘密を探るためなら、愛もないのに敵方のスパイと結婚してしまうバーグマンも凄いが、一番ハラハラするのは、酒蔵のシーンだ。

酒蔵に秘密の品が隠されているらしいということになって、まず鍵を盗み出すシーン。
それから、パーティの時に酒蔵へもぐりこむシーン。

それぞれ、ああもうダメだ、見つかってしまうと思う瞬間に、どうやって、その場を切り抜けるのか。

そこが最大の見どころで、とにかく次から次へとスリルの連続で、息もつかせない。

最終更新日:2023-12-11 16:00:01

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