裸の島(1960) 作品情報

はだかのしま

瀬戸内海の一孤島。周囲約五〇〇メートル。この島に中年の夫婦と二人の子供が生活している。孤島の土地はやせているが、夫婦の県命な努力で、なぎさから頂上まで耕されている。春は麦をとり、夏はさつま芋をとって暮す生活である。島には水がない。畑へやる水も飲む水も、遥るかにみえる大きな島からテンマ船でタゴに入れて運ぶのだ。夫婦の仕事の大半は、この水を運ぶ労力に費いやされた。子供は上が太郎、下が次郎、太郎は小学校の二年生で、大きな島まで通っている。ある日、子供たちが一匹の大き鯛を釣りあげた。夫婦は子供を連れて、遠く離れた町へ巡航船に乗っていく。鯛を金にかえて日用品を買うのだ。暑い日の午後、突然太郎が発病した。孤島へ医者が駈けつけた時、太郎はもう死んでいた。葬式が終り、夫婦はいつもと同じように水を運ぶ。突然、妻は狂乱して作物を抜き始める。訴えかけようのない胸のあたりを大地へたたきつけるのだ。夫は、それをだまってただ見つめている。泣いても叫んでも、この土の上に生きてゆかねばならないのだ。灼けつく大地へへばりついたような二人の人間は、今日もまた、明日もまた、自然とはげしくたたかっていくのである。

「裸の島(1960)」の解説

瀬戸内海の孤島に往む夫婦と子供たちの自然との戦いを記録したもので、「第五福竜丸」に続いて新藤兼人が自らの脚本を監督したセリフなしの映画。撮影は「らくがき黒板」の黒田清巳。十三人のスタッフで作られた。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督新藤兼人
出演乙羽信子 殿山泰司 田中伸二 堀本正紀
制作国 日本(1960)
上映時間 98分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「PineWood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2017-07-05

島民のある家族の働く姿、段々畑での過酷な百姓労働を淡々とドキュメンタリー・タッチで描いた秀作♪確かに台詞が殆んどと言っても良いくらいに無かった!コップの中にスプーンの入った、ライスカレーを家族団欒、お店で食べるシーンが唯一微笑ましかった。生活を支えるのは夫婦愛、親子愛。ところで、先日深夜放映で視たブルック・シールズ主演の<青い珊瑚礁>もほぼ二人だけの文字通り裸の島の物語。其の大自然が美しかった!

最終更新日:2023-11-05 02:00:05

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