シベールの日曜日 作品情報

しべーるのにちようび

戦争中パイロットだったピエール(ハーディ・クリューガー)は戦線で少女を射殺したと思いこみ、それ以来、みずから激しい戦に加わり、墜落のショックで彼は記憶喪失性となった。恋人マドレーヌ(ニコール・クールセル)の愛情も、友人である芸術家カルロスの友情もピエールの孤独な心を救えなかった。彼はあてもなく町をさまよい歩いた。あるたそがれ時、ピエールは町で一人の少女(パトリシア・ゴッジ)に会った。少女の名はフランソワズで寄宿学校に入れられていた。父親から見捨てられたのだ。二人は日曜日ごとに会い、互に孤独な二人の間には汚れのない愛情が生れていった。日曜日は二人にとって貴重な時間となったが、この日曜日を守るために、彼等は周囲に嘘をいわねばならなかった。マドレーヌもこの嘘に気づき心配して後を追ったが、池の畔で遊ぶ二人の姿は汚れのない美しいものだった。ピエールと少女は父と娘として装ってきたが、そんな嘘はいつまでもつづくはずがなかった。クリスマスがやってきた。いつものように二人は池の畔で楽しいクリスマスイブを過ごしていた。いまはピエールを唯一の友人と思っている彼女は、はじめて本当の名前はシベールだと告げるのだった。一方、マドレーヌはピエールの不在に気づき相談相手の医師ベルナールに助けを求めた。ピエールを頭から変質者扱いにしている彼は早速警察に連絡した。警察もベルナールと同じく父親でもない男が少女と恋人同士のようにしているのに少女の危険を感じた。警官達は二人の楽しいクリスマスの現場に踏み込んできた。彼等はピエールにピストルを向けた。ピエールは死んだ。シベールは池の畔でいつまでも泣き続けた……。ピエールもいなくなった。シベールはまた一人ぼっちになってしまったのだ。

「シベールの日曜日」の解説

フランスの作家ベルナール・エシャスリオーの小説「ビル・ダブレの日曜日」を短編映画「微笑」のセルジュ・ブールギニョンとアントワーヌ・チュダルが脚色し、ブールギニョンが監督した記憶喪失症の青年と少女との純愛ドラマ。撮影は「生きる歓び」のアンリ・ドカエ、音楽は「アラビアのロレンス」のモーリス・ジャール。出演者は「ハタリ!」のハーディ・クリューガー、新人子役パトリシア・ゴッジ、「ラインの仮橋」のニコール・クールセル、ダニエル・イヴェルネルなど。この映画はアカデミー外国映画最優秀作品賞、ベニス映画祭特別賞、アメリカ・アート・シアター賞などを受賞した。黒白・フランスコープ。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督セルジュ・ブールギニョン
原作ベルナール・エシャスリオー
出演ハーディ・クリューガー パトリシア・ゴッジ ニコール・クールセル ダニエル・イヴェルネル アンドレ・オウマンスキー Michel de Re(1)
配給 東和
制作国 フランス(1962)

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-09-12

フランス映画の宝石。アンリ・ドカエのキャメラがブールギニョン監督がイメージした日本の水墨画の画質を再現、この神秘的な映像美が物語をさらに儚い恋愛ドラマに昇華させています。記憶喪失の青年と孤児院の少女の忍ぶ恋という物語の特異性は問題ではなく、男と女の恋の悲劇として創作するフランス映画の精神性優位の特長が何とも素晴らしい。
シベールの悲痛な叫びがいつまでもに耳に残り頭から離れない、衝撃と感動の名作。

最終更新日:2022-07-26 11:03:57

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