さよなら子供たち 作品情報

さよならこどもたち

一九四四年、ナチス占領時代のフランス。パリから離れカトリックの寄宿学校で疎開している12歳のジュリアン・カンタン(ガスパール・マネッス)は、クリスマス休暇を終え駅で母(フランシーヌ・ラセット)との別れを惜しんだ後学校に戻り、そこで同級に入った転入生ジャン・ボネ(ラファエル・フェジト)と出会う。しかしジュリアンには彼の打ち解けない様子が気にかかる。というのもジャンの父は捕虜、そして母は非占領地域で3ヵ月もの間、音信不通が続いていたからである。やがて二人は、森での宝探しのハプニングで連帯感を増してゆくが、時にジュリアンのユダヤ人をからかう言動に喧嘩になってしまうこともあった。父母参観の日、ジュリアンは母や兄との食事の席にジャンを招待する。彼はユダヤ人に偏見はない、と語るジュリアンの母に好感を抱く。しかし、次第に親愛の情を深めてゆくジュリアンとジャンの幸せな日々もそう長くは続かなかった。ある日、闇屋との件がばれ学校から解雇された料理番のジョセフ(フランソワ・ネグレ)のゲシュタポへの密告により、ジャンを含む三人のユダヤ人生徒がミュラー(ペーター・フィッツ)率いる一団によって発見されたのである。学校は閉鎖され、少年たちを匿った罪で逮捕されてゆく校長のジャン神父(フィリップ・モリエ・ジェヌー)に生徒たちは口々に言葉をかける。「神父さん、さよなら」振り返ったジャン神父が応える。「さよなら子供たち、また会おう」。しかしジュリアンたちは二度と彼らの姿を目にすることはなかった。三人の少年はアウシュビッツで、ジャン神父はマウトハウゼンで死んでしまった。それから40年以上の月日が流れた。しかしジュリアンの心には、今もあの朝の出来事が息づいている。そしてそれは、生涯忘れることはないであろう。

「さよなら子供たち」の解説

ナチス占領下のフランスのカトリック寄宿舎で生活する少年たちの心の交流を、製作・監督・脚本を担当した「アラモ・ベイ」のルイ・マルの強い自伝的要素のもとで描いてゆく。撮影は「デジャヴュ」のレナート・ベルタが担当。音楽はシューベルトとカミーユ・サン・サーンスのクラシックを使用。出演はガスパール・マネッス、ラファエル・フェジト、フランシーヌ・ラセットほか。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1988年12月17日
キャスト 監督ルイ・マル
出演ガスパール・マネッス ラファエル・フェジト フランシーヌ・ラセット スタニスラス・カレ・ド・マルベール フィリップ・モリエ・ジェヌー フランソワ・ベルレアン フランソワ・ネグレ ペーター・フィッツ パスカル・リヴェ ブノア・ヘンリエ ジャン=セバスチャン・ショーヴァン リュック・エチエンヌ ダニエル・エディンガー マルセル・ベロ
配給 シネセゾン
制作国 フランス 西ドイツ(1988)
上映時間 103分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-09-29

「死刑台のエレベーター」「鬼火」「ルシアンの青春」と共にルイ・マル映画を代表する名作。クストーの海洋記録映画「沈黙の世界」で映画デビューしたマルの演出は、その後も記録映画手法の即物的な視点が特徴で、内容の特異性に対して、とてもオーソドックスなものでした。この初めての自伝映画も、劇的な演出を敢えて避け、冷静に淡々と子供時代の出来事を描きます。これまでの30年の映画監督のキャリアを通して、今伝えておきたいことを切実に。戦争やナチズムへの批判と、映画が表現すべきものは何か、真実を伝達する映画へ捧げたマルの偽りない心象がひしひしと感じられます。これは劇映画の形を借りたルイ・マル畢生の”記憶映画”と云えるでしょう。

最終更新日:2024-03-12 15:48:58

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