痴人の愛(1967) 作品情報

ちじんのあい

精油所の技師河合譲治は酒も煙草も麻雀もやらず、上役や同僚から無類の竪物と思われているが、実は秘かにナオミという女を飼育していた。ナオミはまだ少女の面影を残しているが、譲治は理想の女を作りあげようと奇妙な執念をナオミにそそぎ、そして、ナオミと結婚した。譲治はナオミに教養をつけさせようと、ピアノやイタリア語を習わせたが、ナオミは学生の浜田や熊谷らのボーイフレンドと遊びまわり、勉強はそっちのけだった。そのうえ、ナオミがボーイフレンドの誰彼の見境もなく身を任せているという噂がたった。譲治はナオミを問いつめた。がナオミは巧みにその鉾先をそらし、かえって豊かにみがきあげられたあでやかな肉体を誇示し、譲治はその魅力に屈服するありさまだった。それは、肉欲の前にひざまずく、あさましい人間の姿でもあったが、それだけに譲治はなんとしてもナオミを自分ひとりのものにしたいと思っていたのだった。ある日、彼女の行動になお、不安と疑惑を拭いきれない譲治は、隣家の花村医師にナオミの監視を依頼した。その結果、ナオミは浜田とも熊谷とも関係あることがわかった。口論の末ナオミは家を出た。譲治には、うつうつとして愉しまない日が続いたが、譲治はナオミに関する日記と写真を焼き、キッパリとナオミと縁を切ることを決心した。その後、ナオミについて、譲治はとかくのスキャンダルを耳にしたが、もはや心を動かされなかった。ある日、うらぶれたナオミが、衣類を取りに来たことを口実に帰って来た。譲治の決心は、ナオミを目の前にするとまたぐらつきはじめた。惜し気もなく肌をあらわにして着かえるナオミは、最後の別れに襟足を剃って、ついでに腋の下もと譲治に甘えた。いつしか譲治はあえぎはじめ、もう二度と行かないでくれ、お前の言うことはなんでもきく、馬にもなる、と狂おしくナオミに抱きついていくのだった。

「痴人の愛(1967)」の解説

谷崎潤一郎の同名原作を「ひき裂かれた盛装」の池田一朗が脚色し、「妻二人」の増村保造が監督した文芸もの。撮影は「にせ刑事」の小林節夫。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督増村保造
原作谷崎潤一郎
出演安田道代 小沢昭一 田村正和 倉石功 村瀬幸子 紺野ユカ 清川玉枝 早川雄三 内田朝雄 渡辺鉄弥 森矢雄二 三夏伸 井上大吾 須藤道子 穂高のり子
配給 大映
制作国 日本(1967)
上映時間 92分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2021-02-02

NHKラジオ朗読の時間は谷崎潤一郎「痴人の愛」,魔性のヒロイン,ナオミの肉体のパーツに惹かれる主人公の倦怠感。本篇の描写も思い出され

最終更新日:2022-07-26 11:03:50

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