蟹工船(1953) 作品情報

かにこうせん

昭和初年のある春。折からの大不況にあぶれた鉱夫、農夫、労働者上りの雑夫たちを乗せた蟹工船博光丸は、ベーリング海の漁場めざして函館港を後にした。連日吹きすさぶ嵐に船酔いし、不潔な生活から続出する病人たちに、蟹工船の浅こと監督の浅川を中心とする幹部らはむりやり作業を強制する。浅川の冷酷さはSOSを打ちつづける僚船をも漁場に急ぐため無視し、カムサッカの漁場では突風警報をおかして川崎船を操業させ、多数の遭難者を出した。連日の酷使についに倒れた「学生上り」は偽病人としてボイラーに縛りあげられ、反抗した雑夫平太は撲殺された。低下の一途を辿る生産高にあせったた浅川は、拳銃で漁夫らの反抗をおさえ、ソ連領海への侵入を企てる。その上、過労で病死した青年の体を、すげなくつめたい海に沈めた無情さに、漸く怒り心頭に発した漁夫たちは、ついに就業を拒んだ。代表たちは監督に要求書をつきつけ、拳銃で威脅しようとする彼を、叩きのめした。が、翌朝、浅川らの連絡で駈けつけた駆逐艦「初風」から、武装した一隊の水兵が工船に乗りうつり、暴動代表者の拘引をはじめる。彼らを奪還しようと騒ぐ漁夫たちは、包囲した水兵らの銃弾に次々、のけぞり倒れた。

「蟹工船(1953)」の解説

昭和初年にかかれた小林多喜二の原作を俳優から転出の山村聡が第一回の脚色・監督にあたった。撮影監督・音楽はそれぞれ「ひろしま」の宮島義勇、伊福部昭。監督山村聡自身、森雅之、日高澄子、中原「村八分」、河野秋武などの他、現代プロ、前進座、東京映画俳優協会、劇団東芸、少年俳優クラブのメンバーが出演、これに千葉県勝山の網元平田末喜三が大役に特別出演している。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督山村聡
原作小林多喜二
出演山村聡 日高澄子 森雅之 森川信 中原早苗 河原崎しづ江 若原春江 河野秋武 御橋公 山田巳之助 小笠原弘 平田未喜三 小笠原章二郎 武田正憲 今成平九郎 花澤徳衛 石島房太郎 伊丹慶治 林幹
配給 北星
制作国 日本(1953)
上映時間 112分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、6件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2024-03-18

スクリーンでの本篇上映会で視聴。荒くれ男たちの物語では在るが,船が嵐に遭遇するシーンに影響を受けた有島武郎の小説・生れ出づる悩みの描写との共通性を感じた

最終更新日:2024-03-28 16:00:01

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