忠臣蔵(1958) 作品情報

ちゅうしんぐら

元禄十四年三月、江戸城松の廊下で、浅野内匠頭は度重なる侮辱にたえかね、勅使接待役指南の吉良上野介へ刃傷に及んだ。幕府では上野介派の老中柳沢出羽守が目付役多門や老中士屋らの反対を押しきり、上野介は咎めなし、内匠頭は右京太夫邸で即日切腹という処分を裁決した。赤穂で、悲報を受けた内蔵助は、家中の意見を篭城から殉死へ導き、その後始めて仇討の意図を打ち明けた。内蔵助は順序として浅野家再興の嘆願書を脇坂淡路守に託したが、出羽守はこれも受けつけぬ。上野介の実子上杉綱憲は家老千坂に上野介の警戒にあたらせ、各方面に間者を放った。内蔵助は赤穂退去の後は京都山科に住んだが、再興嘆願の件で江戸へ下って、瑶泉院を訪れた帰途、吉良方の刺客に襲われた。それを救ったのは目付役多門だったが、彼は事件以来、赤穂浪士たちを陰に陽に庇護しつづけてきていた。堀部安兵衛は小人数でも早く仇討をと急進的だったが、内蔵助からさとされ、思い止る。半歳後、内蔵助は祇園の茶屋で毎夜遊びほうけた。太夫は浮橋、五月ら。浪人から犬侍と罵られたりする。茶屋の仲居は千坂の放った間者るいだった。家再興の望みが断たれると、彼は太夫を身請けし、山科へ帰り、主税のみを残して妻子を離別した。妻りくは仏壇の位牌から彼の本心を悟った--。るいは千坂から内蔵助を斬れとの命を受けたが、彼の澄んだ心にどうしても斬れなかった。他の間者が刺客を連れて襲ってきたが、主税らが追い払った。機は熟し、内蔵助らは江戸へ向った、--途中、近衛家用人の暖かい援助を受けたりした。千坂は上野介が旅に出るという噂を立たせ、それを襲うだろう赤穂浪士を一挙に倒そうとした。内蔵助はそれを看破し、逸る同志を抑えた。--赤穂の士は全員江戸に集り、決行の日は後十日に迫ったが、吉良屋敷の絵図面が必要になった。岡野金右衛門は大工の娘お鈴が恋人だった。が、彼女に絵図面の入手を頼むのは、真実の恋がその方便だと受け取られそうでいやだった。しかし、彼女は判ってくれ、絵図面は手に入った。るいは再び千坂の命で内蔵助の宿へ探りに行ったが、逆に彼らへ吉良家茶会の日取りを教えた。十二月十四日。その帰途、大高源五の身代りに清水一角に斬られたが、最後まで内蔵助の所在を明さなかった。決行当日、内蔵助は瑶泉院のもとを訪ね、ひそかに別れを告げたが、間者を恐れ決行のことを明らさまには言わなかった。彼女は彼を責めたが、彼が去って後、その歌日記で始めてことを知り、その成功を祈った。同じ頃、赤垣源蔵は兄と、勝田新左衛門は妻と、それぞれよそながらの苦しい別れを告げていた--。四十七士はそば屋の二階で勢揃いすると、降りしきる雪をついて本所吉良屋敷へ討ち入った。乱闘が続き、ついに炭小屋に隠れる上野介の首級をあげた。翌日、江戸中の市民が--お鈴など浪士ゆかりの人々が立ち並ぶ中を、四十七士は両国橋まで引き揚げてきた。その橋脇の駕篭の中で、白衣をつけた瑶泉院が合掌していた。

「忠臣蔵(1958)」の解説

大映創立十八年を記念して作られた忠臣蔵。渡辺邦男、八尋不二、民門敏雄、松村正温と四人で共同執筆した脚本を「アンコール・ワット物語 美しき哀愁」の渡辺邦男が監督、渡辺孝が撮影をそれぞれ担当した。出演は内蔵助の長谷川一夫を筆頭に、鶴田浩二、菅原謙二、山本富士子、京マチ子、市川雷蔵、根上淳、淡島千景、三益愛子、川口浩等々のオールスター・キャスト。色彩は大映カラー。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督渡辺邦男
出演長谷川一夫 市川雷蔵 鶴田浩二 勝新太郎 川口浩 梅若正二 黒川弥太郎 林成年 川崎敬三 北原義郎 石井竜一 伊沢一郎 信欣三 杉山昌三九 荒木忍 葛木香一 伊達三郎 舟木洋一 花布辰男 和泉千太郎 高倉一郎 藤間大輔 横山文彦 五代千太郎 玉置一恵 品川隆二 京マチ子 若尾文子 山本富士子 淡島千景 木暮実千代 三益愛子 小野道子 浦路洋子 中村玉緒 阿井美千子 近藤美恵子 矢島ひろ子 藤田佳子 八潮悠子 穂高のり子 三田登喜子 浜世津子 若杉曜子 小町瑠美子 春風すみれ 真風圭子 鳥居香月子 川上康子 市川和子 大美輝子 橘公子 滝花久子 朝雲照代 若松和子 東山千栄子 根上淳 清水将夫 清水元 松本克平 沢村宗之助 南条新太郎 春本富士夫 原聖四郎 志摩靖彦 長谷川一夫 菅原謙二 志村喬 潮万太郎 月田昌也 坊屋三郎 見明凡太朗 東良之助 石原須磨男 上田寛 沖時男 大杉潤 光岡龍三郎 堀北幸夫 藤川準 羅門光三郎 水原浩一 浜田雄史 大国八郎 南部彰三 寺島雄作 天野一郎 浅尾奥山 香川良介 中村鴈治郎 滝沢修 小沢栄太郎 田崎潤 高松英郎 千葉敏郎 船越英二
制作国 日本(1958)
上映時間 166分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、2件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-01-30

昨日のNHK教育テレビ放送の古典芸能への招待は歌舞伎仮名手本忠臣蔵・祇園一力茶屋の場,本篇にも登場する有名なシーン…。昔,茶屋見学で訪問した京都をふと想い出した

最終更新日:2023-02-09 16:00:02

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