破れた絵 作品情報

やぶれたえ

何もかも不確かな現代社会に、何かを信じたい思いを綴った青春の群像映画

辻京(朝倉由紀乃)は、家庭内の冷たい空気のなか孤独に絵を描き気持ちを紛らわしている。息の詰まるような現実に耐えられず、神経過敏になったまま、ふと手首に刃物を当てることもある。そしてもうひとり、自分の生活に何も見出せず登校拒否のまま、その日暮らしをする男・トミオカ(一條俊)もまた、すべてに目をそらしながら生きていた。トミオカは、不思議な浮遊感を持つ辻京に惹かれていくが、現実は容赦を知らないほどの厳しさで辻京の心を引き裂いていく…。

「破れた絵」の解説

右を見ても左を見ても、気が付けば知らない人ばかり。家族や友人に囲まれた生活でさえ、本当に自分をわかってくれる相手かどうかさえ不確かだ。そんな現実社会の闇を、繊細すぎるほどの感性で受け止めてしまう少女・辻京が痛々しい。人間誰しも、何かを信じなければ生きてはいかれない。その時に、隣にいてくれるのは豊かな物質などではなく、傷を癒してくれる誰か、なのだ。

若く、壊れそうな心をささやかに描いたこの作品は、きっと見る人をそんな思いにさせてくれるだろう。心地よく流れる音楽と歯切れのいい映像は、物語のデリケートな雰囲気を引き立てる。立ち直れないような現実の厳しさに出会ったとき、もう一度見てみたい作品だ。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2002年5月25日
キャスト 監督石山穣
出演朝倉由紀乃 一條俊
配給 石山プロモーション
制作国 日本(2002)

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最終更新日:2016-02-12 15:40:04

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