人として生きる 作品情報
ひととしていきる
この世から「じん肺根絶」を願う患者たちが、人権を求めて訴えるヒューマン・ドキュメンタリー
「じん肺」は吸い込んだ粉塵がある一定量を超えると、肺が繊維化して排出する能力を失い、呼吸困難になる病気だ。患者の多くは炭坑やトンネル作業で働いていた人たち。仕事を辞めた後に発症し、年と共に悪化して死に至るという不治の病だ。この映画はそうしたじん肺患者たちが、「じん肺根絶」をスローガンに各地で訴訟を起し、立ち上がった裁判闘争のドキュメンタリーである。
「人として生きる」の解説
映画は鼻に酸素チューブを付けた「じん肺」患者がトイレへ行こうとするシーンから始まる。激しい息づかい。まるで空気のほとんどない世界で暮らしているような苦しさが、画面の向こうから伝わってくる。私たちが道路、あるいは鉄道を利用している時に通るトンネル。そこを通る時に、造った人々のことを考えることはまずないだろう。トンネル工事をしていた患者の1人は、「オレたちが日本の距離を1/3に縮めたことを誇りに思っている」と言う。
しかしその裏でこうしたじん肺患者たちの犠牲が生じたことに対し、私たちはあまりにも無知だったことを思い知らされる。映画は患者の法廷闘争に主眼が置かれている。責任をとろうとしない会社や国(こうした工事は公共事業が多いのだ)に、観ているこちらもいらだちをおぼえる。ただ今回初めて「じん肺」を知った身としては、患者の普段の生活をじっくり見せた方が、より一般の人々へのアピールが強まるのではないかと感じた。
公開日・キャスト、その他基本情報
公開日 | 2002年4月18日 |
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キャスト |
監督:片桐直樹
撮影:山本駿 ナレーション:山本圭 |
配給 | 映画『人として生きる』製作委員会 |
制作国 | 日本(2001) |
上映時間 | 95分 |
(C)映画「人として生きる」製作委員会
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