『寝ても覚めても』観客とともに三度目の鑑賞 東出昌大「傑作だなって思っちゃいました」

『寝ても覚めても』観客とともに三度目の鑑賞 東出昌大「傑作だなって思っちゃいました」
提供:シネマクエスト

大ヒット上映中の『寝ても覚めても』。初日からテアトル新宿では立見がでるなど全回満席という大ヒットスタートとなった本作。世界では 20 各国以上で公開が決まっている。SNSでも「今年一番の傑作!」「とにかく普通の恋愛映画だと思って観に行ったら凄まじいものを観せられた!この映画凄すぎ!」「完全に『寝ても覚めても』中毒になった…。また観たくて身体震える」などの大絶賛の感想で連日大盛り上がり!そんな感想もある中で「観終わった後のこの気持ちなんなんだ、誰かと喋りたい」「あの展開、他の人はどう思ったんだろう?」「水辺が象徴的に使われているのはなぜだろうか…」と言った疑問も多く投稿されている。観た人のそんな疑問に答えようと、濱口竜介監督と主演の東出昌大が 9/8(土)にティーチインを行い、観客と共に贅沢な 40 分を過ごした。

東出「亮平は(地球にまで)優しい」?!
この日集まった観客からは時間内に収まらないほどの感想と質問が溢れた。誠実なサラリーマン亮平と自由人麦を一人に役で演じた東出に、「東出さんは、亮平と麦、どちらに思い入れがありますか?」という質問に東出は「(撮影)時間が長かったし、演じてて好きだったのは亮平です。麦は基本的には朝子が好きだけれど、その時その時で興味の対象が変わるちょっと変わった人なので。亮平パートで物語も帰結するので、亮平の方が思い入れが強かった気がします」と回答。さらに、撮影当時の気持ちが蘇った東出は「亮平、優しいんですよ。朝子と付き合い出してから、それこそ毎日のように亮平はクッシー(瀬戸康史演じる同僚の串橋)を連れて朝子の働くウニミラクルに通ってるから。ストローがもったいないって言って、使ってないっていう。そうだ思い出した(笑)」と映画の中では描かれない部分の細かいエピソードを披露。

濱口監督「大変申し訳ないがカメラを見て下さい」
「キャストを周囲から守るために、撮影時は『用意ッ、スタート!!』と声を張って出演者たちを守る幕を作るんです」と取材で答える濱口監督。キャストが役を演じやすいように現場を作り上げる姿勢は映画の中にも良く現れている。「濱口監督の演出法で、俳優陣に<胸の中の鐘を鳴らすように>と言うのはどう言う意味ですか?」と言う質問に対し「なんだか伝言ゲームのようになってますが<お腹の中の鈴を鳴らすように>と伝えてるんですが、その言葉をイメージしながら発声すると、良い声が出てくる。なので<胸の中の鐘を鳴らすように>ではなくて…」とモゴモゴする監督に会場は爆笑。東出も「良いんですよ、細かいところはそこまで笑」と監督の細かさに笑みがこぼれた。何度か挿入される、顔を真正面から捉えたカットについては「目線を向けてもらう時は余計なことを言うと余計なことを考えてしまうと思うので『大変申し訳ないんですがカメラを見てただいていいですか?』とお伝えしますね」と説明。東出も「僕も一度だけカメラを見るシーンがあって、大好きなシーンなんですけど、その時にも監督からは余計な説明なく、同じように言っていただいただけでした」と当時を振り返った。

本邦初公開!東出演じる亮平の前日譚!
この日の観客は東出ファンもさることながら、待望の濱口作品最新作を心待ちにしている人も多く、過去作『ハッピーアワー』『天国はまだ遠い』などを観たと言う声も多かった会場。その中で「前作『ハッピーアワー』のように、前日譚の細かな設定はありましたか?」と言う質問が。監督は「東出さん含め若手の出演者は、事前にワークショップを重ねそれぞれのキャラクター同士のインタビューとかをしましたね」と説明。そのインタビューについても台本が用意されていたという。東出は「『愛とはなんですか?』と亮平に対して聞かれると、それに対して、『聞かんといてもらえます?』と答えるところからインタビューが始まっていて、『ただ思春期の頃にChara さんがボーカルの YEN TOWN BAND の「Swallowtail Butterfly~あいのうた~」を聞いていたんだけども、その曲を「良いな」と思って聞いてたらおかんに「裏声の変な曲」と言われて、自分のアイデンティティを傷つけられたと思ったところに弟が近づいてきて、弟に八つ当たりして、弟が泣いて、「弟いじめんじゃないの!」と怒られ、Chara が歌ってて…』っていうのが亮平の愛についてのインタビューの答えなんですよ!全部それが書かれてるんです。監督すごいな~って思いましたね笑」とこれまでに語られることのなかった人物設定について東出が解説。それに対し、「ただ亮平は一人っ子って劇中で言ってるので設定が間違ってるんですけどね…」と監督が告白し、場内の笑いを誘った。最後に濱口監督は「人によって受け止め方が違う作品だと思います、コミュニケーションの道具にしてほしい」、東出は「今日、この会場で皆さんと一緒に三度目の鑑賞をしました。自分で出ておきながら、傑作だなって思っちゃいました。こういう映画に今後も出続けたい」と挨拶し拍手の中会場を後にした。

最終更新日
2018-09-11 12:00:21
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シネマクエスト(引用元

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