木靴の樹 作品情報

きぐつのき

19世紀末の北イタリア、ベルガモ。農村は貧しく、バティスティ(ルイジ・オルナーギ)一家は、他の数家族と一緒に小作人として住み込んでいたが、この農場の土地、住居、畜舎、道具そして樹木の一本までが地主の所有に属していた。フィナール(バティスタ・トレヴァイニ)はけちで知られており、収穫を小石でごまかしていた。ルンク未亡人(テレーザ・ブレッシャニーニ)は夫に死なれた後、洗たく女をして6人の子どもたちを養っていた。ブレナ一家の娘マッダレーナ(ルチア・ペツォーリ)は美しい娘で、勤めている紡績工場のステファノ青年(フランコ・ピレンガ)と交際していた。バティスティ家に男の子が生まれた。学校から帰ったミネク(オマール・ブリニョッリ)は新しい弟のために、河のほとりに並ぶポプラの樹の一本を伐ってきて一足しかない木靴をつくってやった。マッダレーナとステファノの結婚式が済み、ミラノへ新婚旅行に行った2人は、マッダレーナの伯母が修道院長であるサンタ・カテリナ修道院を訪ねた。そこで捨て子の赤児をひきとることにする。ある朝、ポプラが一本伐られていることが地主の目にとまり犯人追求の手がのびた。ミネクの仕業だとわかり、農場を追われることになったバティスティ一家が荷車をまとめていた。この光景を見る者は誰もいなかった。そして、人々は荷車が去ったあとを見守るのだった。

「木靴の樹」の解説

ある分益小作農場に暮す4家族に起こるできごとを中心に、土に生きる人々の生に対する素朴な感情を描いたカンヌ映画祭78年グランプリ受賞作品。製作はミラノ映画製作集団。監督・脚本・撮影はエルマンノ・オルミ。音楽はJ・S・バッハ作曲のオルガン曲をフェルナンド・ジェルマーニが演奏。美術はエンリコ・トヴァリエリ、衣裳はフランチェスカ・ズッケリが各々担当。出演はルイジ・オルナーギ、フランチェス力・モリッジ、オマール・ブリニョッリ、カルメロ・シルヴァ、マリオ・ブリニョッリ、エミリオ・ペドローニ、テレーザ・ブレッシャニーニ、カルロ・ロータ、ジュゼッペ・ブリニョッリ、マリア・グラツィア・カローリ、ルチア・ペツォーリ、フランコ・ピレンガ、バティスタ・トレヴァイニなど。2016年3月26日より再公開。

エルマンノ・オルミによる1978年カンヌ国際映画祭グランプリ受賞作を、37年ぶりにリバイバル上映。19世紀末の北イタリアを舞台に、農夫たち4家族の生活を紡ぐ。村から遠い学校へ通う息子の木靴が壊れ、父親は新しいものを作ろうとするが……。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1979年4月28日
キャスト 監督エルマンノ・オルミ
出演ルイジ・オルナーギ フランチェスカ・モリッジ オマール・ブリニョッリ カルメロ・シルヴァ マリオ・ブリニョッリ エミリオ・ペドローニ テレーザ・ブレッシャニーニ カルロ・ロータ ジュゼッペ・ブリニョッリ マリア・グラツィア・カローリ ルチア・ペツォーリ フランコ・ピレンガ バティスタ・トレヴァイニ
配給 フランス映画社
制作国 イタリア(1978)
上映時間 187分
公式サイト http://www.zaziefilms.com/kigutsu/

(C) 1978 RAI-ITALNOLEGGIO CINEMATOGRAFICO – ISTITUTE LUCE Roma Italy (co-production)

予告編動画

※音声が流れます。音量にご注意ください。
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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-09-09

ネオレアリズモの伝統を受け継いだオルミ監督が、商業主義から遠く離れて、19世紀末ベルガモの農民の清貧生活を淡々と描く。社会主義の政治的変動とは無縁で資本主義の恩恵もない、地主の支配下で貧しいながらも大地と共に生きる人間の厳しさと美しさを根源的な社会批評とした非ドラマ性。四季の変化や紡績工場・畜舎を映すカメラワークは、オールロケの自然光とロウソクの炎のみの美しさで再現されている。ここまでバッハの音楽が溶け込む映像表現を他に知らない。

最終更新日:2024-03-12 15:48:57

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