一枚のハガキ 作品情報

いちまいのはがき

戦争末期に召集された100人の中年兵は、上官がくじを引いて決めた戦地にそれぞれ赴任することになっていた。クジ引きが行われた夜、松山啓太(豊川悦司)は仲間の兵士、森川定造(六平直政)から妻・友子(大竹しのぶ)より送られてきたという一枚のハガキを手渡される。「今日はお祭りですがあなたがいらっしゃらないので何の風情もありません。友子」検閲が厳しくハガキの返事が出せない定造は、フィリピンへの赴任が決まり、生きて帰って来られないことを覚悟し、宝塚へ赴任する啓太にもし生き残ったらハガキを持って定造の家を訪ね、そのハガキを読んだことを伝えてくれと依頼する。戦争が終わり100人いた兵士のうち6人が生き残った。その中の一人、啓太が故郷に帰ると、待っている者は誰もおらず、家の中は空っぽだった。啓太が戦死したという噂が流れ、恋人同士になってしまった妻と啓太の父親は、啓太が生きて帰ってくるとわかり二人で出奔したのだった。生きる気力を失い、毎日を無為に過していた啓太はある日、荷物の中に定造から託されたハガキを見つける。一方、夫を亡くした友子は悲しみに浸る間もなく、舅姑から自分たちは年老いて働けないのでこのまま一緒に暮らしてほしいと頼まれる。その上、村の習わしで長男が死んだら次男が後継ぎとなることが決められており、友子には次男の三平(大地泰仁)と結婚をしてほしいという。他に身寄りのない友子は、愛する夫との幸せな人生を奪った戦争を恨みながらも、定造の家族と生きていくことを承諾する。ささやかな儀式で夫婦となった友子と三平だったが、しばらくすると三平も戦争に招集され戦死。その後、舅と姑が立て続けに死に、ひとり残された友子は定造の家族が唯一残した古い家屋と共に朽ち果てようとしていた。そんなある日、ハガキを持った啓太が訪ねてくる。クジ運だけで自分が生き残ったことに罪悪感を感じる啓太と、家族も、女としての幸せな人生も、何もかも失ってしまった友子。戦争に翻弄されたすべてを奪われた二人が選んだ再生への道とは……。

「一枚のハガキ」の解説

「石内尋常高等小学校 花は散れども」の新藤兼人監督が自らの体験を基に、戦争によって翻弄される庶民の悲哀を描く。出演は「必死剣鳥刺し」の豊川悦司、「ヌードの夜 愛は惜しみなく奪う」の大竹しのぶ、「ゼブラーマン ゼブラシティの逆襲」の六平直政、「大木家のたのしい旅行 新婚地獄篇」の柄本明、「あしたのジョー」の倍賞美津子。2011年8月6日より東京・テアトル新宿、広島・八丁座にて先行公開。

新藤兼人が“映画人生最後の作品”として放つ人間ドラマ。太平洋戦争末期、中年兵として召集された啓太。フィリピンへの出征が決まった仲間の定造から、妻・友子より送られたハガキを渡される。終戦を迎えた啓太は、彼女の家を訪ねることに。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2011年8月13日
キャスト 監督新藤兼人
原作新藤兼人
出演豊川悦司 大竹しのぶ 六平直政 大杉漣 柄本明 倍賞美津子 津川雅彦 大地泰仁 川上麻衣子 絵沢萠子 麿赤兒 渡辺大
配給 東京テアトル
制作国 日本(2011)
上映時間 114分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、6件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2023-11-30

今朝のNHKラジオ深夜便明日への言葉は新藤兼人監督の三文役者で主演した竹中直人,生きているうちは生き抜きたいと云う恩師の名言に込められた想いは戦友を亡くした監督の本篇への想いでも在ったろうか

最終更新日:2023-12-10 16:00:01

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