タンポポ 作品情報

たんぽぽ

雨の降る夜、タンクローリーの運転手、ゴローとガンは、ふらりと来々軒というさびれたラーメン屋に入った。店内には、ピスケンという図体の大きい男とその子分達がいてゴローと乱闘になる。ケガをしたゴローは、店の女主人タンポポに介抱された。彼女は夫亡き後、ターボーというひとり息子を抱えて店を切盛りしている。ゴローとガンのラーメンの味が今一つの言葉に、タンポポは二人の弟子にしてくれと頼み込む。そして、マラソンなど体力作り、他の店の視察と特訓が始まった。タンポポは他の店のスープの味を盗んだりするが、なかなかうまくいかない。ゴローはそんな彼女を、食通の乞食集団と一緒にいるセンセイという人物に会わせた。それを近くのホテルの窓から、白服の男が情婦と共に見ている。“来々軒”はゴローの提案で、“タンポポ”と名を替えることになった。ある日、ゴロー、タンポポ、ガン、センセイの四人は、そば屋で餅を喉につまらせた老人を救けた。老人は富豪で、彼らは御礼にとスッポン料理と老人の運転手、ショーヘイが作ったラーメンをごちそうになる。ラーメンの味は抜群で、ショーヘイも“タンポポ”を町一番の店にする協力者となった。ある日、ゴローはピスケンに声をかけられ、一対一で勝負した後、ピスケンも彼らの仲間に加わり、店の内装を担当することになった。ゴローとタンポポは互いに魅かれあうものを感じていた。一方、白服の男が何者かに撃たれる。血だらけになって倒れた彼のもとに情婦が駆けつけるが、男は息をひきとった。--やがて、タンポポの努力が実り、ゴロー達が彼女の作ったラーメンを「この味だ」という日が来た。店の改装も終わり、“タンポポ”にはお客が詰めかけ、行列が続いた。ゴローはタンクローリーに乗ってガンと共に去っていく。

「タンポポ」の解説

タンクローリーの運転手が、さびれたラーメン屋の美しい未亡人に惹かれるまま、そのラーメン屋を町一番の店にするまでを、奇想天外の食物がらみのエピソードを混ぜて描く。脚本、監督は「お葬式」の伊丹十三、撮影は「火まつり」の田村正毅がそれぞれ担当。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 1985年11月23日
キャスト 監督伊丹十三
出演山崎努 宮本信子 役所広司 渡辺謙 桜金造 安岡力也 加藤嘉 大滝秀治 黒田福美 長江英和 加藤善博 深見博 村井邦彦 松本明子 大友柳太朗 池内万平 田村淳一郎 竹内直人 大沢博 粟津號 榎木兵衛 瀬山修 野口元夫 嵯峨善兵 成田次穂 田中明夫 高橋長英 加藤賢崇 橋爪功 岡田茉莉子 小竹林義一 久保晶 兼松隆 大島守三郎 川島祐介 里木佐甫良 都家歌六 MARIO ABE 高木均 二見忠男 辻村真人 松井範雄 ギリヤーク尼ヶ崎 佐藤昇 高見映 福原秀雄 洞口依子 安達久美子 新谷絵子 中田佳子 松渕麻美 小笠原睦子 藤田敏八 鈴木美江 北見唯一 南麻衣子 柴田美保子 伊藤公子 海野喜一 篠井世津子 横山あきお 関山耕司 入江正夫 沖佐々木範幸 石岡博夫 原泉 津川雅彦 中村伸郎 林成年 田武謙三 井川比佐志 三田和代 関菜穂子 石井孝明 横田真洋 大月ウルフ
配給 東宝
制作国 日本(1985)
上映時間 115分

ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「グスタフ」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2019-09-26

才人伊丹十三監督の第二作目にして最高傑作。ラーメン屋再建を中心に様々な食文化のエピソードをオムニバス風に構築した喜劇。そのセンスの良さ、異色の着眼点が映画のコツを掴んで飲み込んだユーモアが素晴らしい。日本映画でこんな作品創れるひと他に誰もいない。ブニュエルの「自由の幻想」に構成を真似て、中味はフェリーニの「オーケストラ・リハーサル」のイタリア庶民の様なリアリズム表現の日本人像で、全体は各個性派俳優の絶え間ない競演。練られたエピソードの中で、特に大滝秀治と井川比佐志のものが個人的に好きです。ヨーロッパ文化に造詣が深い伊丹監督の好奇心と探求心が産んだ、異色にして唯一無二の日本映画の名作。

最終更新日:2022-07-26 11:03:54

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