NARA:奈良美智との旅の記録 作品情報

ならならよしともとのたびのきろく

アーティスト・奈良美智。彼は、一人でずっと絵を描いていた。そんな彼が、はじめて「誰かと一緒に作りあげた」ときに生まれたもの。<2005年6月、韓国・ソウル>『Yoshitomo NARA From the Death of My Drawer』Rodin Gallery。ギャラリー前にできた長蛇の列を眺める奈良。彼は韓国でも人気者だ。ギャラリー内でのティーチ・インで作品について素直な思いを語る奈良の姿に歓声をあげる観客たち。その夜開かれたファンの集い。「結婚はいつですか?」…次々と質問が寄せられる中、7歳の少女からの質問が読み上げられた。「美智アジョシ(おじさん)、美智アジョシ…。悲しいときは、おじさんの名前を呼びます」その帰路、彼はつぶやいた。「あの中で純粋に僕の絵を見てくれていたのは、あのちっちゃな女の子だけだったかもしれない…」―青森県・弘前市。地元の友人のラジオ番組に出演し、来年の『AtoZ』へ向け、ボランティア募集をする奈良。<2005年8月、東京・奈良のアトリエ兼自宅>バックミュージックはパンクロック。新作を描くため、真っ白な紙に向かう。徐々に少女の姿が浮かび上がっていく。下書きはしない。たくさんの色が塗り上げられていく。遠くから眺めたり、近づいたり、悩みながら制作をする奈良。韓国の女の子にもらった絵を自分の絵の横に貼り、気合を入れ直してまた描き始める。“ならよしとも様 私によろこびをくださってありがとう セヒより”韓国から手紙が届く。差出人は韓国の女の子の母親だった。<アメリカ・ニューヨーク>少女に勇気をもらい描き上げた絵は、ニューヨークのギャラリーに展示された。アートの中心地、ニューヨークでも奈良は注目を浴び続ける。絵だけではなく、彼のアトリエのような空間を作り出した展示形式も話題を集めている。アトリエのような空間…それは、小さな木造の小屋だった。初めて小屋を作ったのは12年間のドイツ生活から戻った後のこと。「思ったよりも自分が知られている」ことをプレッシャーに感じ始めた奈良はラフに書いた落書きやスケッチをボロいコンパネで囲った小屋に展示した。(2001年 横浜美術館)「確かなところに帰りたかった」「自分が一番居心地のいい空間に戻りたかった」それが奈良の小屋作りの原点となった。それから、長い旅の中で彼はいくつもの小屋を作った。それは彼が思い描く展示のための理想の空間。けれども、ひとりでは決して実現できなかったもの。<イギリス・ロンドン>ロンドン郊外で古い小屋を撮影する奈良と、旅の同行者、graf豊嶋秀樹(大阪を拠点に活動するクリエイティブユニットgraf創設メンバーの一人)。奈良のアイデアを共に膨らませ、形にしてくれる小屋作りに欠かせない仲間。奈良と豊嶋は、共に小屋を作り、ビールを飲み、語り合い、笑いあう。それは、小学校や中学校の頃初めて友達ができたときの感覚に近いものだと奈良は語る。ひとりで作るときとは違う、完成したときの喜び。湧き上がってくる、今までになかった感情、喜びを共に分かち合うということ。<横浜、『横浜トリエンナーレ2005』山下ふ頭>来る日も来る日も奈良は、grafメンバー、そしてボランティアスタッフと一緒に作業をする。彼らは今までに作ったこともない巨大な小屋作りに挑むが……。

「NARA:奈良美智との旅の記録」の解説

アーティスト・奈良美智が、クリエイティブユニットgrafと出会い、初めて共同作業をした道のりを、500日間カメラが共に駆け抜けた。ソウル、横浜、NY、大阪、ロンドン、バンコク…世界各国数万マイルに渡る旅は、『AtoZ』という終着点へ向かう。2006年7月29日~10月22日、青森県弘前市の吉井酒造煉瓦倉庫で行われた“奈良美智+graf”の展覧会『AtoZ』を追ったドキュメンタリー。監督は、本作が長編初となる坂部康二。

公開日・キャスト、その他基本情報

公開日 2007年2月24日
キャスト 監督坂部康二
出演奈良美智 豊嶋秀樹 野澤裕樹 青柳亮 小西康正 高野有輝 脇本秀史
配給 東北新社
制作国 日本(2007)
上映時間 93分

ユーザーレビュー

レビューの投稿はまだありません。

「NARA:奈良美智との旅の記録」を見た感想など、レビュー投稿を受け付けております。あなたの映画レビューをお待ちしております。

最終更新日:2022-07-26 11:03:36

広告を非表示にするには