伊豆の踊子(1963) 作品情報

いずのおどりこ

若葉が美しい伊豆の街、修善寺を発った一高生の川崎は旅芸人の一行と連れになった。一座は大島の人で四十女を中心に男一人と若い女の五人づれ、川崎に可憐な笑顔を向ける踊子は一ばん年下のようである。下田まで同行する約束をして湯ケ野に着いた夜、川崎はお座敷へ呼ばれている踊子達のざわめきを聞くと胸が騒いだ。しかし翌日彼は、病気で寝ている酌婦のお清を慰めたり子供達とかくれんぼをして遊ぶ踊子が、まだ汚れを知らぬ子供と知った。踊子はその一日を川崎と遊び夜は仕事のあと彼に本を読んで貰った。翌朝、出発をのばすという一座と行を共にした川崎は、男の語る淋しい身上話を聞いた。一行は自分の妻とその母、年下の踊子はカオルといい十四で自分の妹、こんなことをさせたくないが事情あってのことという。一行と川崎は急速に親しくなり、踊子は強引に川崎が大島に来るという約束までさせてしまった。踊子が川崎を強く慕い始めたことに母親は気付いていたが、叱るでもなかった。翌朝下田へ向う道、山の中で川崎と踊子は初めて二人きりになったがドギマギしている間に時はすぎた。下田へ着き、川崎は最後の思い出にと踊子を映画に誘ったが、母親は許さなかった。これが二人の心の傷を深めるだけで所詮どうしようもない恋であると判っていたからだ。翌朝早く、川崎は下田の港に出かけた。送りに来た踊子は何を話しかけても黙ってうなずくだけだった。川崎の出船を見送る踊子は、船が遠く離れると懸命にハンカチを振った。彼の眼は踊子をみつめたまま急にうるんだ。

「伊豆の踊子(1963)」の解説

川端康成原作四度目の映画化で、「若い人(1962)」の三木克巳と西河克己が共同で脚色、「雨の中に消えて」の西河克己が監督した文芸もの。撮影はコンビの横山実。

公開日・キャスト、その他基本情報

キャスト 監督西河克己
原作川端康成
出演高橋英樹 吉永小百合 大坂志郎 堀恭子 浪花千栄子 茂手木かすみ 十朱幸代 南田洋子 深見泰三 郷えい治 小峰千代子 井上昭文 安田千永子 桂小金治 土方弘 澄川透 岩手征四郎 田畑善彦 伊豆見雄 近江大介 江沢一 山口美津男 森重孝 青柳真美 松岡高史 奥園誠 大野茂樹 高橋玲子 飯島美知秀 豊澄清子 福田トヨ 三船好重 大倉節美 渡辺節子 宇野重吉
配給 日活
制作国 日本(1963)
上映時間 87分

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ユーザーレビュー

総合評価:5点★★★★★、1件の投稿があります。

P.N.「pinewood」さんからの投稿

評価
★★★★★
投稿日
2018-04-19

東京ステーション・ギャラリーで以前開催された川端康成文学と美術コレクション展の会場で1部流されていたTV番組の中に本編のロケを訪ねた作者の姿が在った見たいだ。本編にも踊子を活動写真に誘う声掛けの場面が出て来る。川端康成脚本の表現主義作品は衣笠貞之助監督の斬新な実験劇映画〈狂った一頁〉に結実ー。ラストシーンはサイレント映画作ではヒロイン田中絹代嬢の踊子が秀逸だった。本編は映画〈オズの魔法使い〉宜しく現在をモノクロで表現し回想シーンをカラーで描く。一種の傷痕文学のスタイルを取っている。映画化された掌篇小説〈ありがとさん〉とも重なる伊豆のロードムービー??????

最終更新日:2022-07-26 11:03:51

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